【中級脱出のリスニング特訓!】Topicの背景
東京都が「カスハラ防止条例」の制定を検討しているそうです。
「嫌がらせ」を表す「ハラスメント」を使った「〇〇ハラ」って言葉、本当にたくさんありますね。
「セクハラ」「パワハラ」のみならず、「ドクハラ(医者の患者に対する嫌がらせ)」「アカハラ(大学などの教育機関、研究機関で起きる嫌がらせ)」等々・・・。
ただし、ほとんどは和製英語なので、英語でそのまま使うと通じない可能性が高いです。
「セクハラ」は英語の “sexual harassment” が日本語になったものなので、短縮しないで使えば通じます。
パワハラ(パワーハラスメント)は和製英語です。英語では通常 “power harassment” とはいわず、 “workplace bullying” や “workplace harassment” と表現します。
「カスハラ」は英語でどう表現すればいいでしょうか?今回の英文記事で聞き取ってくださいね。
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Step1:全体リスニング
まずは英語ニュース全体の要点を理解するリスニング訓練です。5W1Hのうち、「Who, What, Why」の質問の答えを探しながらニュースを通しで聞き、解答してください。
▶ 1回目で答えがわからないときは、最大3回まで音声を再生しましょう。
【ナチュラルスピード】
英文
Tokyo’s New Rules Against Customer Abuse
Tokyo governor Yuriko Koike plans to introduce new legislation.
This aims to tackle abuse and unreasonable demands from customers.
Koike announced her plans at the Tokyo Metropolitan Assembly.
There are calls for regulations to address these issues.
This ordinance would support businesses facing harassment.
If passed, it would be the first of its kind in Japan.
The governor is pushing for a quick implementation of the rules.
However, this measure does not include any penalties.
和訳
東京都がカスハラ条例制定へ
東京都の小池百合子知事は、新たな法律の導入を予定している。
これは、顧客からの迷惑行為や不当な要求に対応するのが目的である。
小池知事は、その計画を東京都議会で発表した。
これらの問題に対処する規制を強く求める要望が出ている。
この条例は、嫌がらせに直面している企業を支援することになる。
もし可決されれば、日本で初めてのものとなる。
知事は、ルールの迅速な実施を推進している。
しかし、この措置には罰則が含まれていない。
質問の解答例
Who : 小池百合子都知事が、(Tokyo governor Yuriko Koike)
What : カスタマーハラスメントに対応する条例を計画している。(plans to introduce new legislation to tackle abuse from customers.)
Why : これらの問題に対処する規制を強く求める要望が出ているから。 (There’s a strong demand for regulations to address these issues.)
Step2:重要単語と語句
音声を再生し、強勢のある母音(=大きな赤文字)を意識しながら次の手順で練習しましょう。
①「単語の綴りと意味」を見ながら音声をリピートし、意味を確認。
②「単語の綴りと意味」を閉じて音声をリピートし、一時停止して和訳。
単語の綴りと意味
governor /ˈɡʌvərnər/(名)知事
legislation /ˌlɛdʒɪˈsleɪʃən/(名)立法、法律
tackle /ˈtækəl/(動)取り組む、対処する
abuse (as a noun) /əˈbjuːs/(名)虐待、悪用
abuse /əˈbjuːz/(動)虐待する、悪用する
metropolitan /ˌmɛtrəˈpɑlɪtən/(形)大都市の、首都圏の
assembly /əˈsɛmbli/(名)議会、集会
regulation /ˌrɛɡjəˈleɪʃən/(名)規則、規制
address /əˈdrɛs/(動)対処する、取り組む
ordinance /ˈɔrdɪnəns/(名)条例、法令
harassment /ˈhærəsmənt/(名)嫌がらせ、ハラスメント
implementation /ˌɪmplɪmɛnˈteɪʃən/(名)実施、実装
penalty /ˈpɛnəlti/(名)罰、違約金
Step3:リッスン&リピート
1文ずつ区切ったスロー音声を再生し、文字を見ずにリピートした後で和訳しましょう。一度で聞き取れないときは、最大3回まで音声を流し、リピートした後で和訳します。
次に「和訳と解説」を開いて英文と意味を確認し、間違っていた箇所がないか確認してください。発音が苦手な箇所は何度もリピート練習しましょう。
Step4:スラッシュ和訳
スラッシュで区切った英文を表示したら、区切りごとに日本語に訳します。後ろから返り読みせず、英語の語順のまま読み進めてください。
この訳し方を「サイト・トランスレーション」といいます。英語の語順のまま理解する習慣がつくと、英文を読むスピードが格段に速くなります。
まず自分で訳してから、和訳例と比べてみましょう。
2)
英文と理解度クイズ
This aims to tackle / abuse and unreasonable demands / from customers.
Q1)「This」が具体的に指しているのは?
Q2) この「abuse」の品詞と発音は?
和訳と解答・解説
これは、対応するのが目的である、/ 迷惑行為や不当な要求に、/ 顧客からの。
⇒ これは、顧客からの迷惑行為や不当な要求に対応するのが目的である。
A1) 前出の「new legislation」を指している。
A2) 直前の動詞「tackle」の目的語なので名詞。発音は「abuse/əˈbjuːs/」で語尾のSが濁らない。動詞は「abuse /əˈbjuːz/」で語尾のSが濁る。
補足解説)この文脈での「abuse」は一般的に不可算名詞として扱われ、一連の行動や行為のパターンを指します。つまり、特定の個別の事例を指すのではなく、虐待行為全体の概念を指します。
一方で「demands」が複数形で使われているのは、さまざまな種類の「要求」や個々の事例を想起させるためでそのため、ここでは複数形を使って、多様な要求や事例が存在することを示しています。
5)
英文と理解度クイズ
This ordinance would support / businesses / facing harassment.
Q1)「would」という助動詞が付いている理由は?
Q2)「businesses」と複数形になっている理由は?
Q3)「facing」の元の形「face」の意味と品詞は?「facing harassment」を関係代名詞の主格「that」を使って言い換えるとどうなる?
和訳と解答・解説
この条例は支援することになる、/ 企業を、/ 嫌がらせに直面している。
⇒ この条例は、嫌がらせに直面している企業を支援することになる。
A1) この条例がまだ成立していないため、「もし成立したら」という仮定法になっている。が、成立する確信が強い場合は、「will」という通常の未来形も使える。
A2) ここでは「企業」という意味であり、数えられる名詞の複数形になっている。
A3) 「face」は「直面する」という意味の動詞。関係代名詞で言い換えると「that face harassment」となる。「that」の先行詞はは直前の名詞「businesses」。
6)
英文と理解度クイズ
If passed, / it would be / the first of its kind / in Japan.
Q1)「If passed」の主語と動詞の省略を補うとどうなる?
Q2)「the first of its kind」の「kind」の品詞と意味は?
和訳と解答・解説
もし可決したら、 / なる見込みである、/ この種のものとしては初の事例に、 / 日本で。
⇒ もし可決されれば、日本で初めてのものとなる。
A1) 「もしこの条例が可決したら」なので、「If [the ordinance is] passed」となる。
※ここでは、Ifの条件節が「実際に起こりうる現実的な状況」を示すために現在形となり、主節が「その結果の仮定的を示す」ために仮定法になる用法。
A2) 名詞で「種類」という意味。”its kind”はこの文脈では「同様の目的や性質を持つ他の法律や条例」、つまり「顧客によるハラスメントに対処する法律や条例」を示している。
8)
英文と理解度クイズ
However, / this measure / does not include / any penalties.
Q)「penalties」と複数形になっている理由は?
和訳と解答・解説
しかし、/ この措置は / 含まない、/ いかなる罰則も。
⇒ しかし、この措置には罰則が含まれていない。
A) 条例や法律に違反した場合に適用される罰則は通常、1つではないため。複数形にすることで、潜在的に考えられるさまざまな種類の罰則が含まれていないことを示している。
ただし、否定形の文脈では単数形を使っても文法的には間違いではない。
補足解説)ここでの「measure」は提案された条例や措置全体を指し、一つの具体的な政策や行動計画を示しています。そのため、単数形が適切になります。
また、この文の主旨は、提案されている措置が現在の時点で罰則を含まないという事実を述べているため、現在形が適しています。現在形は、一般的な事実や現状を述べる際によく使われます。
ここからはメルマガ企画「穴埋めディクテーション」の正解と解説・成績優秀者の発表です。
無料企画「穴埋めディクテーション」の正解と解説・成績発表
上記の英語ニュースを公開する前に、メルマガ読者さんを対象に以下の要領で英文のディクテーションQuizを出題しました。
「現在の英語力を語彙力・文法読解・発音力の点から客観的に測定する作業」です。英語ニュースの音声を聞き、各空欄に入る英文を正確に書き取ってください。
空欄に入る箇所は、途中で止めずに一気に聞かないと訓練の効果がありません。また、聞く回数はできれば2回以下、最大5回程度を目安にしてください。
5回聞いてわからない箇所は「今の英語力では正確に聞き取れない箇所」です。そこを自分の弱点だと理解し、解答を見て原因を分析するのが上達の近道です。
>> 答案採点のチェックポイント
▶満点(リスニング回数「2回以内」の条件付)の割合と各設問の正答率
満点率 |
Q1の正答率 |
Q2の正答率 |
Q3の正答率 |
28% |
59% |
76% |
66% |
▶最優秀賞(100点):8名【答案提出者の28%が満点】
メルマガ読者の皆様、答案ご提出とコメントありがとうございました!詳細は上記リンクをクリックするとご覧になれます。
ディクテーション答案の講評
今回は音声スピードがスロー、難易度も低めだったので全般的に好成績でした!
設問1「legislation」と「registration」、設問2 「in Japan」と「of Japan」、設問3「measure」と「major」の聞き違いについて解説しました。
特に設問1の名詞違いが意外と多かったです。両者をしっかり区別しましょう。
設問1)Tokyo governor Yuriko Koike ( ).
解答を確認
Tokyo governor Yuriko Koike (plans to introduce new legislation).
答案添削)「legislation」と「registration」
▶ 文法面から見ると、「legislation」は「法律や条例を制定すること」という意味で、政治や法律の文脈でよく使用されます。
「registration」は「登録」を意味し、文脈が全く異なります。したがって、東京都知事が「新しい法律を導入する」という文脈では「legislation」が適切で、「registration」は文脈に合っていません。
発音面では、「legislation」の最初の音は「L」であり、「registration」の最初の音は「R」です。「L」の音は舌を上歯茎に軽く触れさせて作り、「R」の音は舌を少し巻き上げて喉の奥で発音します。
さらに、「legislation」の「-sla-」、「registration」の「-stra-」の音が特徴的で、ここでもLとRの違いがあります。また、前者にはそもそもTの音が入っていません。
設問2)If passed, it would be ( ).
解答を確認
If passed, it would be (the first of its kind in Japan).
答案添削)「in Japan」と「of Japan」
▶ 意味の面から見ると、「the first of its kind in Japan」は「日本国内で初めて」という意味です。
「of Japan」は「日本の〜の中で」というニュアンスになり、この文脈では意味が不明瞭になってしまいます。
発音の面から見ると、「in Japan」と「of Japan」では、前置詞「in」と「of」の発音が異なります。「in」は[i]の音で始まり、「of」は[əv]または[ʌv]と発音されます。
設問3)However, ( ).
解答を確認
However, (this measure does not include any penalties).
答案添削)「measure」と「major」
▶ 文法的に見ると、「measure」は「措置」という意味の名詞であり、政策や法律に関連する行動や手段を指しています。
「major」は「主要な」「大きな」という意味の形容詞です。したがって、「この主要なものが罰則を含まない」という文は意味的に不適切であり、文脈に合っていません。
発音面では、「measure」(メジャー)と「major」(メイジャー)は母音の音が明らかに異なります。
「measure」の発音は /ˈmeʒ.ər/ で、第一母音を「e(エ)」と発音します。「major」の発音は /ˈmeɪ.dʒər/ で、第一母音を「eɪ(エイ)」と発音します。
この明確な違いを耳で聞き分けられるようにしましょう。
いかがでしたか。不正解箇所のある人は、間違えた原因をしっかり分析して今後につなげましょう。次回のディクテーションQuizもふるってご参加ください。
参考記事
東京都がカスハラ条例制定へ:10秒スピーチ
【中級レベルを今度こそ脱却したいあなたへ!】
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