スイスでてんぷら
スイスの寄宿学校で行った「日本文化」の実技科目で、カルタ作りと並んで柱となったのが「日本料理」でした。ひとつ考慮に入れなきゃいけないのが、スイスには肉や魚を食べないベジタリアン(菜食主義者)の人が意外に多いということ。
私の周囲では、4、5人にひとりはベジタリアンだったような気がします。どのみち、スイスは内陸国のため、魚料理を食べることはめったにありません。
肉や魚を使わないで日本らしい料理を、身近に手に入る材料を使って作らねばならないので難題です。しかも、日本にいる当時はまだ実家で両親と暮らしていた私は、普段の料理は母に任せきりでした。
(でも、なんとか日本料理を授業に取り入れたい・・・)そう考えてようやく選んだメインディッシュが「てんぷら」です。てんぷらといっても、スイスで使ったのは野菜だけです。材料の調達には困りませんでしたが、形や味が日本のものと違っていることもありました。
確か、なすはやけに大きく、にんじんは甘味があってやわらかかったような気がします。ほかに、たまねぎやピーマン、じゃがいもを加え、天ぷら粉は確か、日本人の生徒さんのお母さんにいただいたもので間に合わせたんじゃないかな?
本来なら“主役級”であるはずのえびや白身魚がないのは寂しい気がしますが、そもそも手に入らないのでしかたありません。準備には割合に手間がかかったものの、出来栄えは上々で、ベジタリアンの人たちにも喜んで食べてもらえました。
でも、実際にはてんぷらを担当したのは私だけで、生徒さんには別のものを準備してもらったのです。それはまた次回に・・・。
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