持ち寄りパーティー
各自があり合わせの料理を持ち寄る、いわゆる“potluck party”は欧米ではさかんなようですが、私がこれを最初に経験したのは、スイスの寄宿学校にボランティア日本語教師として滞在していたときです。
インターナショナルスクールのため、この学校には欧米各国から集まった教師がいて、皆、校舎内またはその周辺の一軒家を借りて住んでいました。
その中で、週に1度、女性教師だけが集まって語りあう”Women’s Group”(正式にはドイツ語で”Frauen Gruppe”)という会合があり、私も参加していました。
出席者が車座になり、ひとりずつ順番に、この1週間に起きた出来事や自分の悩み事を、なんでもいいから皆に語りかけるのです。聞き手は、時おり相づちを打ちながら、じっと話に耳を傾けます。
テーマは自由で時間制限もありません。気持ちを落ち着かせるためなのか、順番が回ってくると、毎回、ビー球や小さな人形や、何かを手のひらでもてあそびながら話をし、終わったらそれを次の人に手渡していました。
母国語を使う、という決まりだったので、欧米人である他の教師たちは皆、英語かドイツ語で問題なかったのですが、私だけは日本語でしゃべっても誰も理解できないので、練習を兼ねて、英語かドイツ語で話しました。
ひとりだけノンネイティブという立場はハンディがあって大変だったものの、ほかの人が何を考えているのかわかっておもしろかったです。
この会合の中で一番楽しみだったのが、数ヶ月に1回行われる“potluck party”だったのです。ひとりの女性教師の家に、20数名のメンバーが料理を一品ずつ持ち寄るため、それは国際色豊かなメニューとなりました。
私はやはり、日本を意識したおにぎりやてんぷらを持参することが多かったですね。調理とはいえない程度の物でも、「こんなおいしいライスボールができるなんて、どんなお米を使っているの」「この“ふりかけ”っていうのは何?」などと口々に聞かれ、おかしいぐらいに好評でした。
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