スイス人のモト彼?!

スイス渡航前、友人たちからはこんなふうに冷やかされたもんです。「帰国時にはちゃっかり青い目の恋人を連れてきたりして」(そんな簡単にいくかいな・・・)

もう、私まじめに勉強しに行くんよ、ってそのときは軽くいなしましたが、まあ、せっかくだから少しは出会いがあったほうがいいなあ、なんてちょっとだけ思ったことも事実。

チューリヒの風景

ところが、滞在先の寄宿舎の環境をみてがっくりです。生徒さんは当然みんな子供だし、先生たちはだいたい、40歳以上の夫婦がひと組になっているパターンがほとんど。

あとは、20歳代前半ぐらいの女性教師が数人いるぐらいで、同年代の男性なんてひとりもいやしない・・・。

おまけに学校が山の中腹にあったので、最寄りの町へ出かけるにはケーブルカーで片道30分ぐらいかかる始末。お金のなかった私はめったに遠出なんてできず、おとなしく学校で勉強する日々が続いておりました。

ただ、長期休暇中はチューリヒ郊外に住むホストファミリーのもとで過ごしたので、このときに、短期間ですがスイス人とお付き合いをしたことがあるんです。街で偶然出会って意気投合したのがきっかけでした。なぜかというと、この男性、日本語の話せる人だったのです。

なんでも、東京の上智大学に何年か留学したことがある、とかで、日常会話はかなりじょうずでした。その当時は企業の会計検査官をしていて、出張で各地を飛び回っていたようです。まさかチューリヒでそんな人に会うなんて思ってもみませんでしたね。

お互い、曲がりなりにもドイツ語、英語、日本語(彼はフランス語も)が通じたので、何語を使うか迷ったのですが、じゃあ、公平に「ドイツ語と日本語を半々で」ってことで落ち着きました。英語を使ったことは1回もなかったですね。日本とスイスの社会や文化の違いとか、けっこうまじめな話ばかりしていた気がします。

当時は、あの阪神淡路大震災が起こって間もない時期だったので、そのことも話題にのぼりました。確か、スイスからせっかくやって来た救助犬が、日本のお役所の規則でなかなか現場に行けなかったということがあって、彼が日本語でえらく怒ってましたねえ。

「イヌがもうココまで来てるのに~。ボクはそーいうのね、おかしおもいますですよ」---は!ごもっともでございます、と答えたんだかどうだか・・・。彼の日本語は、私のドイツ語よりうまかったんじゃないかと思います。

でも、感心してたら、赤十字のことを平気で「あかじゅうじ」って言ってましたね。それぐらいのほうがかわいげがあっていいんですが。(正しい読み方を教えたらびっくりしてました。)

当時はまだメールの交換なんてできず、休暇が終わったら会えなくなったのでそれっきりですが、これもスイスでのよい思い出のひとつです。

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