インターンの大変さ

外国の学校で日本語や日本文化を教えるスクールインターンは、やっぱり外国人相手の日本語教師をめざしている人に一番向いている気がします。でも、生徒さんが大人か子供かによって教え方は違いますし、日本人に英語を教えるのとはもっと違うんですよね。

チューリヒ

そのとき利用したのはスクールインターンという制度で、触れ込みは、「海外の学校で子供たちに日本語や日本文化を教えながら、現地での生活を通じて語学力をアップさせよう」というものでした。

私の場合、何が失敗だったかというと、派遣先の生活環境があまりに特殊で、しかも自分の適性にあまり合っていなかったことです。「スイスの大自然の中で、世界中から集まった子供たちといっしょに暮らしながら、親代わりになって教育をする」---これって本当に大変なんです。

その寄宿舎に送り込まれてくるのは、普通の学校には溶け込めない性格の子供が多く、しかも、親がある程度のお金をもっているのでわがままに育てられた子もけっこういるんです。

齢は幅広くて5歳~18歳ぐらいまで。そういう多感な子どもたちに人間形成するなんて、たとえ日本人どうしでも骨が折れると思いませんか?もちろん、周囲にいる欧米人の同僚教師がある程度助けてはくれますが、でも、頼りっぱなしではいけませんしね。 たぶん、私がお世話になった日本の語学学校付属エージェントは、この学校について十分なリサーチをしていなかったのだと思います。

とにかく、私が希望した「英語とドイツ語を両方使える学校」という条件で受入先を探し、やっと見つけたのがこのスイスの寄宿舎だったのでしょう。その証拠に、学校についての説明が途中で変わってしまいました。

最初、担当者は私に対し、「ここでのあなたの任務は、正規の日本語教師の方にしたがってアシスタントをすることです」と明言しておりました。

「あ、じゃあ、私が自分で教えるってことではないんですね」確認すると、「そりゃそうですよー。ボランティアで行くインターンの先生に、いきなり教えろ、なんて言いませんよー」

それで安心はしたものの、一抹の不安が・・・。そもそも、スイスの田舎にある学校に、常勤の日本語教師なんているんだろうか?? そう、やっぱりその通りで、いなかったんです!それがわかったのは、学校側窓口のアメリカ人女性からエージェントに宛てた手紙の内容からでした。

「この日本人の方(私のこと)は、日本文化や日本語について自分で教えなきゃいけないってことをちゃんとわかってるんでしょうか。しかも、午後のクラスでは自分の得意分野を生かして実技の指導もすることになってるんですよ」

その手紙を見せてもらったとき、当然、私は唖然としました。(え、そんな、話が全然ちがーう・・・)でも、担当者はこともなげにこう言ったのです。「大丈夫ですよ。普段のご様子を見てたら、ずいぶんしっかりしていらっしゃるし、あなたならきっとうまくやれます」

励ましてもらったのはありがたいんだけど、前の説明がまちがっていたことへの釈明はなし。でも、それを鵜呑みにしていた私にも責任はあるし、この段階で契約を解除することは可能だったはずなんです。結局私は、また振り出しに戻って考え直すのがじゃまくさくて、(まあ、なんとかなるやろ)と腹をくくり、スイスのその学校に決めてしまったのです。

おかげで、良きにつけ悪しきにつけ、一生忘れられないような濃い1年間となりました。この学校は、私が日本人ということから、折り紙の指導クラスなどを想定していたようです。あいにく、私はこのテのことが苦手なので別の課目を探さねばなりませんでした。海外では、こういう日本人らしい技を堂々と披露できたら大きな強みになるんですよね。手先の器用な人がうらやましい~。

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