ドイツ語のDuとSie
ドイツ語には、英語のYouにあたる主語は、丁寧語の「Sie」と親しい言葉づかいの「Du」の2種類があります。通常、目上の人に対してやあまりよく知らない人どうしではSieから入り、仲良くなった時点でDuに切り替えることが多いようです。学校の中では、おそらく、生徒は先生に対してSieの表現を使うのが普通なのではと思います。
ですが、私のいた寄宿舎では、先生も生徒もDuで統一するという慣習になっていました。
また、生徒が先生の名前を呼ぶときは、普通なら、男性教師には Herr+苗字、女性教師にはFrau+苗字となりますが、その学校では、校内全体がファーストネームで呼び合うことになっていたのです。
たぶん、生活を共にしている教師と生徒の間に心の垣根を作らない、という意図があったのでしょう。
その方針自体に私は賛成でしたし、英語やドイツ語で話すときは、苗字で呼ばれるとよそよそしい感じがするので、むしろファーストネームで呼ばれることを歓迎しておりました。
その学校にいた外国人の生徒たちと話すとき、私は名前で呼び捨てにされることを自然に受け止めていました。これはたぶん、言語の性質からくるものですね。
でも、これを日本語に置き換えたらどうなるでしょう。日本の学校を想像した場合、中高生が先生を下の名前で呼び、友人に対するようなタメ口で話しかけるとしたら違和感はないでしょうか。
実際、日本人の生徒たちと日本語で話す際、彼らは年上の私を「○○先生」と呼んでくれました。ごく自然な流れだと思います。でも、ただひとりだけ例外の女の子がいたのです。彼女は私に対していっさい敬語を使わず、終始、同い年の友達のように接してきました。それを当然と考えていたようです。
なぜ、そんな奇妙なことが起きたのか?これには理由があるのですが、長くなりそうなので、続きはまた次回お話ししますね。
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