【中級脱出のリスニング特訓!】Topicの背景
日銀が7月3日、20年ぶりに新紙幣を発行しました。旧紙幣に馴染んでいたので、慣れるまでに少し時間がかかりそうです。
新紙幣の肖像は、1万円札が「渋沢栄一(近代の資本主義の父)」、5千円札が「津田梅子(津田塾大学の創設者)」、千円札が「北里柴三郎(破傷風の治療法を確率した細菌学者)」。
今後、財布から紙幣を出すときに毎回見る顔なので、名前と略歴は知っておきたいところ。
記念に「おさつのお札パン」が発売され、生産が追いつかないほどの人気商品になっているらしいです。
こういうネタを英語で言えると英語雑談が盛り上がりそうですね。
というわけで、今回は、このテーマで英語ニュースをお届けします。
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Step1:全体リスニング
まずは英語ニュース全体の要点を理解するリスニング訓練です。
「誰が(Who)」「何をしたのか(What)」「どのように(How)」の答えを探しながら聞きましょう。
▶ 1回目で答えがわからないときは、最大3回まで音声を再生しましょう。
【ナチュラルスピード】
英文
New Banknotes Issued After 20 Years
Japan issued new banknotes for the first time in 20 years.
The redesigned bills feature 3D holograms to prevent counterfeiting.
The 10,000-yen note depicts an industrialist and official during the Meiji era.
The 5,000-yen note highlights a pioneer in women’s education who founded Tsuda University.
The 1,000-yen note shows a bacteriologist who worked on tetanus prevention.
Existing bills remain valid currency.
和訳
20年ぶりに新紙幣を発行
日本が20年ぶりに新しい紙幣を発行した。
新しいデザインの紙幣には、偽造防止のための3Dホログラムが搭載されている。
1万円札には、明治時代の実業家兼官僚が描かれている。
5千円札には、津田塾大学を創設した女子教育の先駆者が描かれている。
千円札には、破傷風予防に貢献した細菌学者が描かれている。
既存の紙幣も引き続き有効な通貨として使用できる。
質問の解答例
▶ 誰が(Who): 日本が(Japan )
▶ 何をしたのか(What): 新しい紙幣を発行した、(issued new banknotes )
▶ どのように(How):20年ぶりに。(for the first time in 20 years.)
Step2:重要単語と語句
音声を再生し、強勢のある母音(=大きな赤文字)を意識しながら次の手順で練習しましょう。
①「単語の綴りと意味」を見ながら音声をリピートし、意味を確認。
②「単語の綴りと意味」を閉じて音声をリピートし、一時停止して和訳。
単語の綴りと意味
feature /ˈfiːtʃər/(動)特徴づける
hologram /ˈhɒləɡræm/(名)ホログラム
counterfeit /ˈkaʊntərˌfɪt/(動)偽造する
industrialist /ɪnˈdʌstriəlɪst/(名)実業家
bacteriologist /ˌbækˌtɪəriˈɒlədʒɪst/(名)細菌学者
tetanus /ˈtɛtənəs/(名)破傷風
Step3:リッスン&リピート
1文ずつ区切ったスロー音声を再生し、文字を見ずにリピートしましょう。最大3回まで音声を流してOKです。
できれば、リピートした直後に英文をディクテーション(書き取り)してみましょう。
次に英文を確認し、リピートやディクテーションを間違っていた箇所がないか確認してください。
今度は「母音のストレス・音の連結・止める子音」などの発音ルールに気をつけて音声を再生し、文字を見ながらゆっくり正確に2〜5回リピートしましょう。
その後、文字を見ないで2回正確にリピートできたらOKです。
▶和訳を見る前に、理解度クイズにもぜひ挑戦してください。
なお、英文のスラッシュはStep4の和訳用です。音読のときは、スラッシュで区切らず一文を一気に読み上げてください。
Step4:サイトトランスレーション(スラッシュ和訳)
スラッシュで区切った英文を表示し、区切りごとに日本語に訳します。後ろから返り読みせず、英語の語順のまま読み進めてください。
この訳し方を「サイト・トランスレーション」といいます。英語の語順のまま理解する習慣がつくと、英文を読むスピードが格段に速くなります。
まず自分で訳してから和訳例と比較してみましょう。意味が違っていた箇所は、語彙と文法構造を確認し、間違った原因を明らかにする必要があります。
Step5:反訳トレーニング(和文英訳)
今度は、和訳のみを見ながら元の英文を口頭で再現する「反訳トレーニング」に挑戦しましょう。
その際、英文テキストと全く同じでなくても、意味がほぼ同じで文法的にも正しければOKです。
余力があれば、単語の一部を入れ替える「パラフレーズ」練習もやってみましょう。
2)
スラッシュ英文と理解度クイズ
■大きな赤い文字:強勢(=アクセント)のある母音
■下線:音の連結 ■( ):子音の脱落 ■t,d,k,g,p,b:子音の飲み込み
The redesigned bills feature / 3[three] D holograms / to prevent counterfeiting.
Q) 動詞「feature 」を「use」に置き換えた場合のニュアンスの違いは?
スラッシュ和訳
新しいデザインの紙幣は搭載している、/ 3Dホログラムを、/ 偽造を防止するため。
⇒ 新しいデザインの紙幣には、偽造防止のための3Dホログラムが搭載されている。
クイズの解答と解説
A) feature:3Dホログラムが紙幣の主要な特長であることを強調している。
use:紙幣が3Dホログラムを使っていることを示し、特に強調していない。
▶ 文法的にはどちらも正しい英文ですが、「紙幣が3Dホログラムを取り入れている」という特徴を強調したい場合は「feature」が適切です。
3)
スラッシュ英文と理解度クイズ
The 10,000[ten thousand]-yen note depicts / an industrialist and official / during the Meiji era.
Q) 可算名詞の単数形「official」の前に冠詞が付いていない理由は?
スラッシュ和訳
1万円札は描いている、/ 実業家兼官僚を、/ 明治時代の。
⇒ 1万円札には、明治時代の実業家兼官僚が描かれている。
※1万円札の肖像:渋沢栄一(近代の資本主義の父)
クイズの解答と解説
A)「official」の前に冠詞が付いていない理由:「an industrialist and official」が同一人物を指しているため。
▶ 最初の冠詞が複数の肩書きをカバーするため、「official」の前に新たに冠詞を付ける必要はありません。同一人物が持つ複数の肩書を述べる場合は、冠詞を1回だけ使うのが適切です。
「an industrialist and an official」と両方に冠詞を付けた場合、「industrialist」と「official」が別の人物のように解釈される可能性が高いです。
4)
スラッシュ英文と理解度クイズ
The 5,000[five thousand]-yen note highlights / a pioneer in women’s education / who founded Tsuda University.
Q) 「highlights」を記事中の似た意味の動詞に置き換えてみよう。
スラッシュ和訳
5千円札は描いている、/ 女子教育の先駆者を、/ 津田塾大学を創設した。
⇒ 5千円札には、津田塾大学を創設した女子教育の先駆者が描かれている。
※5千円札の肖像:津田梅子(津田塾大学の創設者)
クイズの解答と解説
A) 「highlights」⇒「features」
▶いずれの単語も、紙幣が「特定の人物や要素を取り上げていること」を意味しています。
「highlights」に最も意味の近い動詞は「features」ですが、文法的には「shows」「depicts」に置き換えることも可能です。
Step6:オーバーラッピング&シャドーイング
【スロースピード】
英文
New Banknotes Issued After 20 Years
Japan issued new banknotes for the first time in 20 years.
The redesigned bills feature 3D holograms to prevent counterfeiting.
The 10,000-yen note depicts an industrialist and official during the Meiji era.
The 5,000-yen note highlights a pioneer in women’s education who founded Tsuda University.
The 1,000-yen note shows a bacteriologist who worked on tetanus prevention.
Existing bills remain valid currency.
上記の英文を表示しながらスロースピードの音声を通しで再生し、自分の声をかぶせてオーバーラッピングします。回数の目安は5回です。
余力があれば、次に英文を閉じて音声を再生し、1,2語遅れで追いかけるシャドーイングに挑戦しましょう。こちらも5回を目安にしてください。
Step7: 仕上げの全体リスニング
【ナチュラルスピード】
最後に、英文を見ない状態でナチュラル・スピードの英語ニュースを通しでもう一度聞いて仕上げましょう。
途中、聞き取りにくい箇所があったら前のStepに戻って内容を確認してくださいね。
無料企画「穴埋めディクテーション」の正解と解説・成績発表
ここからはメルマガ企画「穴埋めディクテーション」の正解と解説・成績優秀者の発表です。
上記の英語ニュースを公開する前に、メルマガ読者さんを対象に以下の要領で英文のディクテーションQuizを出題しました。
「現在の英語力を語彙力・文法読解・発音力の点から客観的に測定する作業」です。英語ニュースの音声を聞き、各空欄に入る英文を正確に書き取ってください。
空欄に入る箇所は、途中で止めずに一気に聞かないと訓練の効果がありません。また、聞く回数はできれば2回以下、最大5回程度を目安にしてください。
5回聞いてわからない箇所は「今の英語力では正確に聞き取れない箇所」です。そこを自分の弱点だと理解し、解答を見て原因を分析するのが上達の近道です。
>> 答案採点のチェックポイント
メルマガ読者の皆様、答案ご提出とコメントありがとうございました!詳細は上記リンクをクリックするとご覧になれます。
▶満点(リスニング回数「2回以内」の条件付)の割合と各設問の正答率
満点率 |
Q1の正答率 |
Q2の正答率 |
Q3の正答率 |
5% |
40% |
13% |
47% |
※各設問の正解率はリスニング回数を反映しておらず、3回以上聞いた場合も含まれています。
▶最優秀賞(100点):5名
ディクテーション答案の講評
今週のディクテーションQuizは、設問2)の難易度が高めでした。
正解するには、B2レベル以上の文法力と英文読解力が必要です。
満点を取った5人の皆さんは、この実力が備わっています。
設問1)〜3)を通じて内容語を間違えた人は、各英文の単語と文法構造を確認しましょう。
各設問の間違いやすいポイントをまとめましたので、詳細は下記をご覧ください。
設問1)Japan ( ) in 20 years.
正解と答案分析
Japan (issued new banknotes for the first time) in 20 years.
主な不正解事例)
▶「banknotes」と「bank notes」を分けて書いてしまった。
⇒ 「banknotes」は一つの単語として書くのが一般的です。この形で覚えておきましょう。
※ 詳細は上記「Step3) , Step4)」の解説をご覧ください。
設問2)The 10,000-yen note ( ) during the Meiji era.
正解と答案分析
The 10,000-yen note (depicts an industrialist and official) during the Meiji era.
主な不正解事例)
▶「an industrialist and official」を「an industrialist in official」と書いてしまった。
⇒ 弱音の機能語「and」と「in」はほぼ同じ音に聞こえるため、正確に聞き取るには中上級レベルの英文読解力が必要です。
今回はこの設問の難易度が最も高く、「industrialist」と「and」を正確に書けていない人が多かったです。
※ 詳細は上記「Step3) , Step4)」の解説をご覧ください。
設問3)Existing ( ).
正解と答案分析
Existing (bills remain valid currency).
主な不正解事例)
▶「valid(有効な)」という形容詞を知らず、正しく書けなかった。
⇒ 日常生活でもよく使う語彙なので覚えておきましょう。
※ 詳細は上記「Step3) , Step4)」の解説をご覧ください。
いかがでしたか。不正解箇所のある人は、間違えた原因をしっかり分析して今後につなげましょう。次回のディクテーションQuizもふるってご参加ください。
参考記事
20年ぶりに新紙幣を発行:10秒スピーチ
【中級レベルを今度こそ脱却したいあなたへ!】
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