【中級脱出のリスニング特訓!】Topicの背景
先日、水俣病の被害者団体と環境大臣との会合で思わぬ揉め事が起きましたね。
団体側の発言中、制限時間を超えたとして職員がマイクの音を切った件です。
円滑に進行するためなんでしょうが、被害者への気配りが感じられず残念です。
そもそも「ひとり3分で話してくれ」という要望自体に無理がある気がします。
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Step1:全体リスニング
まずは英語ニュース全体の要点を理解するリスニング訓練です。
「誰が(Who)」「何をしたのか(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」の答えを探しながら聞きましょう。
▶ 1回目で答えがわからないときは、最大3回まで音声を再生しましょう。
【ナチュラルスピード】
英文
Env. Minister Apologizes to Minamata Victims for Muted Microphones
The Environment Minister offered an apology to those affected by Minamata disease.
This illness results from mercury contamination in wastewater.
The ministry was criticized for its handling of a stakeholder meeting.
Eight groups met with the minister in Minamata City on May 1.
Each speaker was given three minutes, but two exceeded this limit.
An official then muted the microphones during their speeches.
The minister later acknowledged the management was inappropriate.
One speaker expressed a hope for more opportunities to discuss freely.
和訳
環境相がマイク音消しで水俣病被害者に謝罪
環境大臣が水俣病の被害者らに謝罪した。
この病気は廃水の水銀汚染によって引き起こされる。
省は当事者との会合の対応について批判を受けた。
8つの団体が5月1日に水俣市で大臣と面会した。
各発表者には3分の時間が与えられたが、2人がこの制限を超過した。
すると、職員が彼らの発言中にマイクの音を切った。
大臣は後で、運営が不適切であったことを認めた。
発表者のひとりは、自由に話し合う機会がもっとあればとの希望を表明した。
質問の解答例
▶ 誰が(Who): 環境大臣が、(The Environment Minister)
▶ 何をしたのか(What): 水俣病の被害者らに謝罪した、(offered an apology to Minamata victims.)
▶ なぜ(Why):当事者との会合の不適切な対応に対して。(for its inappropriate handling of a stakeholder meeting.)
▶ どのように(How):職員がマイクの音を切った、2名の発表者が持ち時間を超過したとき。(An official muted the microphones when two speakers exceeded their time limit.)
Step2:重要単語と語句
音声を再生し、強勢のある母音(=大きな赤文字)を意識しながら次の手順で練習しましょう。
①「単語の綴りと意味」を見ながら音声をリピートし、意味を確認。
②「単語の綴りと意味」を閉じて音声をリピートし、一時停止して和訳。
単語の綴りと意味
mute /mjuːt/(動)音を消す
affect /əˈfɛkt/(動)影響を及ぼす
mercury /ˈmɜrkjəri/(名)水銀
contamination /kənˌtæmɪˈneɪʃən/(名)汚染
stakeholder /ˈsteɪkˌhoʊldər/(名)利害関係者
exceed /ɪkˈsiːd/(動)超える
acknowledge /ækˈnɒlɪdʒ/(動)認める
inappropriate /ˌɪnəˈproʊpriət/(形)不適切な
Step3:(ディクテーション+)リッスン&リピート
1文ずつ区切ったスロー音声を再生し、文字を見ずにリピートしましょう。最大3回まで音声を流してOKです。
できれば、リピートした直後に英文をディクテーション(書き取り)してみましょう。
次に英文を確認し、リピートやディクテーションを間違っていた箇所がないか確認してください。
今度は「母音のストレス・音の連結・止める子音」などの発音ルールに気をつけて音声を再生し、文字を見ながらゆっくり正確に2〜5回リピートしましょう。
その後、文字を見ないで2回正確にリピートできたらOKです。
▶和訳を見る前に、理解度クイズにもぜひ挑戦してください。
なお、英文のスラッシュはStep4の和訳用です。音読のときは、スラッシュで区切らず一文を一気に読み上げてください。
Step4:サイトトランスレーション
スラッシュで区切った英文を表示し、区切りごとに日本語に訳します。後ろから返り読みせず、英語の語順のまま読み進めてください。
この訳し方を「サイト・トランスレーション」といいます。英語の語順のまま理解する習慣がつくと、英文を読むスピードが格段に速くなります。
まず自分で訳してから和訳例と比較してみましょう。意味が違っていた箇所は、語彙と文法構造を確認し、間違った原因を明らかにする必要があります。
1)
スラッシュ英文と理解度クイズ
■大きな赤い文字:強勢(=アクセント)のある母音
■下線:音の連結 ■( ):子音の脱落 ■t,d,k,g,p,b:子音の飲み込み
The Environment Minister / offered an apology / to those affected / by Minamata disease.
Q1) 「offered an apology」を動詞1単語に置き換えてみよう。
Q2) 「those affected by Minamata disease」の「those」と「affected」の間に省略されている言葉は?
スラッシュ和訳
環境大臣が / 謝罪を提供した、/ 影響を受けた人々に、/ 水俣病によって。
⇒ 環境大臣が水俣病の被害者らに謝罪した。
クイズの解答と解説
A1) offered an apology ⇒ apologized
▶「offered an apology(謝罪を提供した)」は謝罪がより公式かつ形式的であることを示しています。また、謝罪が提示される様子を強調しており、受け手がそれを承諾するかどうかという選択の余地を含んでいます。
いっぽう、動詞「apologized」は直接的に謝罪を行ったことを指しています。公式の場でも非公式の場でも使用され、謝罪の事実のに焦点を当てています。
A2) those [who are] affected by Minamata disease
▶ 水俣病のように過去から現在にわたって継続的に影響がある場合、現在形を使用するのが適切です。
また、「those」は特に「特定の条件に一致する人々」を指す際に、「those who…」のように関係代名詞と合わせて使用する傾向があります。この文脈では、「水俣病の影響を受けている人々」を指しています。
この「those」を「people」に置き換えても文法的には通じますが、「people」は通常、より一般的な「人々」を示すときに使用する単語です。
2)
スラッシュ英文と理解度クイズ
■大きな赤い文字:強勢(=アクセント)のある母音
■下線:音の連結 ■( ):子音の脱落 ■t,d,k,g,p,b:子音の飲み込み
This illness results from / mercury contamination / in wastewater.
Q) 「results from」を別の語句に置き換えてみよう。
スラッシュ和訳
この病気は引き起こされる、/ 水銀汚染によって、/ 廃水の中の。
⇒ この病気は廃水の水銀汚染によって引き起こされる。
クイズの解答と解説
A) results from ⇒ is caused by (〜によって引き起こされる)
▶「from」の後に「原因となっている名詞(語句)」が入り、ここでは「mercury contamination」がこれに相当します。「result from」の逆は「result in(〜の結果となる)」です。
例)Careless driving often results in serious accidents.(不注意な運転はよく重大事故を引き起こす。)
3)
スラッシュ英文と理解度クイズ
The ministry was criticized / for its handling / of a stakeholder meeting.
Q) この文脈での「stakeholder」の意味を説明してみよう。
スラッシュ和訳
その省は批判された、/ 対応に関して、/ 当事者との会合の。
⇒ 省は当事者との会合の対応について批判を受けた。
クイズの解答と解説
A) stakeholder(利害関係者・当事者):この文脈では「水俣病の被害者や遺族などの関係者全般」を指している。
▶The ministry was criticized for its handling:オレンジで塗った弱音の機能語に注意してリスニングしましょう。
所有格の「its」にアポストロフィーを入れて「it’s」と解釈すると「it is(代名詞の主語+be動詞)」の意味になり、ここでは文法的にも意味的にも不適切です。
8)
スラッシュ英文と理解度クイズ
One speaker expressed / a hope for more opportunities / to discuss freely.
Q) 「discuss」を「話す」という意味の別の動詞に言い換えてみよう。
スラッシュ和訳
ある話者は表明した、/ さらなる機会への希望を、/ 自由に話し合うための。
⇒ 発表者のひとりは、自由に話し合う機会がもっとあればとの希望を表明した。
クイズの解答・解説
A) discuss ⇒ talk
▶「speak」は「一方的に話す」という意味の単語です。が、次のように説明を追加すれば「双方向の話し合い」という意味で使えます。
One speaker expressed a hope for more opportunities to speak freely with the ministry.
Step5:オーバーラッピング&シャドーイング
【スロースピード】
英文
Env. Minister Apologizes to Minamata Victims for Muted Microphones
The Environment Minister offered an apology to those affected by Minamata disease.
This illness results from mercury contamination in wastewater.
The ministry was criticized for its handling of a stakeholder meeting.
Eight groups met with the minister in Minamata City on May 1.
Each speaker was given three minutes, but two exceeded this limit.
An official then muted the microphones during their speeches.
The minister later acknowledged the management was inappropriate.
One speaker expressed a hope for more opportunities to discuss freely.
上記の英文を表示しながらスロースピードの音声を通しで再生し、自分の声をかぶせてオーバーラッピングします。回数の目安は5回です。
余力があれば、次に英文を閉じて音声を再生し、1,2語遅れで追いかけるシャドーイングに挑戦しましょう。こちらも5回を目安にしてください。
Step6: 仕上げの全体リスニング
【ナチュラルスピード】
最後に、英文を見ない状態でナチュラル・スピードの英語ニュースを通しでもう一度聞いて仕上げましょう。
途中、聞き取りにくい箇所があったら前のStepに戻って内容を確認してくださいね。
無料企画「穴埋めディクテーション」の正解と解説・成績発表
ここからはメルマガ企画「穴埋めディクテーション」の正解と解説・成績優秀者の発表です。
上記の英語ニュースを公開する前に、メルマガ読者さんを対象に以下の要領で英文のディクテーションQuizを出題しました。
「現在の英語力を語彙力・文法読解・発音力の点から客観的に測定する作業」です。英語ニュースの音声を聞き、各空欄に入る英文を正確に書き取ってください。
空欄に入る箇所は、途中で止めずに一気に聞かないと訓練の効果がありません。また、聞く回数はできれば2回以下、最大5回程度を目安にしてください。
5回聞いてわからない箇所は「今の英語力では正確に聞き取れない箇所」です。そこを自分の弱点だと理解し、解答を見て原因を分析するのが上達の近道です。
>> 答案採点のチェックポイント
メルマガ読者の皆様、答案ご提出とコメントありがとうございました!詳細は上記リンクをクリックするとご覧になれます。
▶満点(リスニング回数「2回以内」の条件付)の割合と各設問の正答率
満点率 |
Q1の正答率 |
Q2の正答率 |
Q3の正答率 |
9% |
25% |
38% |
46% |
※各設問の正解率はリスニング回数を反映しておらず、3回以上聞いた場合も含まれています。
▶最優秀賞(100点):6名【答案提出者の9%が満点】
ディクテーション答案の講評
今回のネイティブ音声はやや口語的な読み方だったので、こういう「崩した発声」に慣れていない人は戸惑ったかと思います。
音声の速度は、ディクテーションQuizでは意図的に「スロー」にしています。
単語レベルで細かく聞き取るときは、スロー音声のほうが冠詞や前置詞などの機能語に気づきやすいからです。「それほど速くなかった」と感じた人がいたのも当然です。
設問1の答案「those」と「affected」の間に(発音されていない)「who were」を入れた人が意外に多かったです。
「この語句は省略されることが多い」という文法知識がある人は、聞いたままの音を素直に理解して正解しています。
毎回、答案の間違い箇所を分析して次につなげましょう。
設問1)The Environment Minister ( ) by Minamata disease.
正解と答案分析
The Environment Minister (offered an apology to those affected) by Minamata disease.
主な不正解事例)
▶「offered an apology」という言い回しに馴染みがなく、正しく聞き取れなかった。
▶「affected」を「effective」や「suffered」に置き換えてしまった。
⇒「affected」の前に関係代名詞が省略される用法です。発音されていない「who」を書いてしまった人は文法理解が浅いです。
※ 詳細は上記「Step3) , Step4)」の解説をご覧ください。
設問2)( ) mercury contamination in wastewater.
正解と答案分析
(This illness results from) mercury contamination in wastewater.
主な不正解事例)
▶「results」を「without」などの別単語に置き換えてしまった。
⇒ 「result from(〜が原因で起きる)」という表現をしっかり覚えておきましょう。
※ 詳細は上記「Step3) , Step4)」の解説をご覧ください。
設問3) The ministry ( ) of a stakeholder meeting.
正解と答案分析
The ministry (was criticized for its handling) of a stakeholder meeting.
主な不正解事例)
▶「was criticized for its 」の機能語「was, for, it」を正しく聞き取れなかった。
⇒ 弱く曖昧に発音される機能語を聞き取るには、文脈から正しく理解する文法力・読解力が必要です。音だけに頼っていては正解できないことがあります。
「draw(〜を引き付ける)」という他動詞の使い方に慣れておきましょう。これは「attract」に置き換え可能です。
※ 詳細は上記「Step3) , Step4)」の解説をご覧ください。
いかがでしたか。不正解箇所のある人は、間違えた原因をしっかり分析して今後につなげましょう。次回のディクテーションQuizもふるってご参加ください。
参考記事
環境相がマイク音消しで水俣病被害者に謝罪:10秒スピーチ
【中級レベルを今度こそ脱却したいあなたへ!】
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ディクテーションとは、「英文を見ずに音声を聞いて、正確に書き取る訓練方法」です。
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