日本人の英語学習者によくある思い込み
今週は久々に学習コラムをお届けします。
普段、音声付きの英語ニュースを別途配信していますが、十分にご活用いただいてますか?
適当に読み流すだけじゃ意味ないですよ(^^;
音声付版の英語ニュースの狙いは、「耳で聞いた音を自分の口で再現し、発音とリスニングを同時に習得すること」です。
実際、この訓練が不十分なために、中級レベルで停滞する人がとても多いのです。
というわけで、今回は上級レベルに飛躍するための突破口として、「英語の音の仕組み」に関する特別コラムを4日間にわたってお届けします。
第1回目のテーマは「日本人の英語学習者によくある思い込み」です。
シャドーイング訓練を繰り返しても無駄なのか?!
実をいうと、英語講師の私自身でさえ、自分の教室の開講当初は勘違いをしていました。
つまり、私のスクールのメインは「英語ニュースのリスニング訓練」だったので、語学教材などによく書いてあるように、「英文のシャドーイングを繰り返すことで受講生のリスニングと発音が自然に良くなる」と固く信じていたのです。
実際、通訳学校でも推奨されている方法ですが、何年も経つうちに、私は疑問を持ち始めました。
なぜかというと・・・ ズバリ、「シャドーイングで発音が劇的に良くなった人は たぶんひとりもいない」だろうし、「苦手な音が相変わらず聞き取れない人が圧倒的に多かった」からです。
確かに、発音のきれいな生徒さんは何人もいましたよ。
でも、そういう人たちは「子供の頃に英語の音に触れる環境で育った」から発音が良いのであって、決して、シャドーイング効果で上手になったわけではないのです。
(結局、リスニング対策になってないじゃん。このやり方じゃダメなのでは?)
私がそのような疑いを持ち始めた矢先、(これはもう、方法を絶対に変えなければ!)という決心に至った衝撃的なことが起こりました。
基本例文のリスニングで判明するあなたの発音力
あるとき、授業で基本例文のリスニングをやってみた結果、全問正解の人がほとんどいなかったのです。
中学校レベルの単純な英文ですよ。もちろん、読めばすぐに理解できる内容です。
(こんな簡単な英文が聞き取れないのに、難しい英語ニュースを聞く意味があるのか? TOEIC900点以上でも、上級といえるのか?)
・・・そう、自問せずにはいられませんでした。
ちなみに、受講生が苦労したのはこういう例文です。聞き取れるかどうか、ぜひ試してみてください。
【基本例文のリスニング力判定クイズ】
1)
2)
3)
4)
5)
・・・いかがでしたか?
これはリスニング判定クイズでありながら、発音力を試す要素も兼ねています。
なぜなら「自分が発音できない音は聞き取れないから」です。
なので、正解が3問以下だった人は、「日本語訛りの自己流発音」になっている可能性があります。
私の受講生の大半もそうでした。
簡単な英文をなぜ聞き取れないのか
この苦い経験から、私が至った結論はこうです。
簡単な英文を聞き取れないのは、「音の仕組み」が根本的にわかっていないから。
この超基本をすっ飛ばして音読練習をしても、穴の開いたバケツに水を注いでいるようなもの。
で、どうしたかというと、・・・あれこれ試行錯誤を重ねた末、自分自身も「発音矯正コーチ」になるための集中トレーニングを5ヶ月間受けました。
その後、学んだことを生徒さんに還元すべく、授業カリキュラムを大幅変更し、「発音とリスニングのBasic講座」を集中的に実施したのです。
すると、受講生の皆さんからこんな反応が・・・。
「まさに、目からウロコ状態です! 長年勉強してきたのに、英語の音の基本をわかってなかったってことですよね」
「こんな大事なこと、なんで今まで知らなかったんかな~って・・・」
「ネイティブ音声に合わせて英文を音読(=オーバーラッピング)するとき、なぜ自分がいつも3秒ほど遅れてしまうのか、ずっと不思議だったんです。その長年の謎がやっと解けました」
これらの声に私はうれしく感じる反面、なんだか申し訳ない気持ちになりました。
本当に、こんなことなら、この基礎講座をもっと早く実施すべきだったのです。
具体的にどういう内容だったのか、これは次回の配信でお知らせしますね。
実際のクラスで使用したレクチャー動画を通して、内容をご説明する予定です。
次回の学習コラムをどうぞお楽しみに。