効果的なリスニングの訓練方法

今週は、主に「発音とリスニングへの苦手意識から中級で伸び悩んでいる方」を対象に、上級レベルに飛躍するカギとして「英語の音の仕組み」に関する特別コラムをお届けしています。

今日はその3日目です。

これまでの学習コラムの内容はこちらです。

3日目のテーマは「効果的なリスニングの訓練方法」です。

私の英語教室では、英語ニュースのリスニング訓練を開始する前に、3ヶ月の「発音Basic講座」を受講してもらっています

なぜなら、人は「自分で正しく発音できない音は聞き取れない」からです。

「英語の音の仕組み」を理解せずに長文を繰り返しリスニングしても、苦手な音はいつまでたっても聞き取れません。

英語は「音楽」であり、自分の口はそれを奏でる「楽器」です。

どうやったら良い音色が出るのか、楽器と同じように練習しながら身につけるしかないのです。

さて、ここからが今日の本題です。

長文リスニング力の測定方法

「発音の仕方をひと通り理解した」という前提で、長文のリスニング訓練についてご説明します。

ネイティブが話す生の英語を聞き取れるようになるには、ナチュラル・スピードでリスニング練習するのが重要です。

「毎日の英速読」の著者、ジェームス・M・バーダマン氏によると、英語ネイティブのナチュラル・スピードは、通常、1分間で140Words以上(CNNなどは180Words以上)になとのこと。

実際に、ナチュラル・スピードの英語を聞き取れるかどうかを測定するために、「やさしい英語ニュース」の音声付版から最近の話題を出題します。

次のニュースを聞き、全文を5分以内にディクテーションしてみましょう。

速度が2種類ありますので、まずナチュラルスピードで試し、難しければ、ややスローのほうをご使用ください。

英語ニュースのリスニング力判定クイズ】

ナチュラルスピード


ややスロースピード


解答

Test-taking security measures strengthened following cheating incident

As university entrance exams get underway, test-taking venues are enforcing stricter security measures, including requiring examinees to show their phones, switch them off and put them away, as well as banning earphones. These follow a case last year in which a student sent a photo of a question via Skype.

・・・いかがでしたか。間違いが2個以内なら合格です。

ここで重要なのは、間違えた箇所の理由を分析することです。

いつもの繰り返しになりますが、一般に、英語音声が正しく聴き取れないときの原因は次の3つに大別されます。

【リスニングの間違いパターンの分類】

1)その単語や表現を知らなかった ⇒ 単語・語彙力の不足

2)英文法と英文構造を正しく理解できなかった ⇒ 文法・読解力の不足

3)読めば理解できる英文を聴き取れなかった ⇒ 発音力の不足

間違いのある人は、1)-3)のどれが原因なのか、おおまかに分類してみましょう。

1)または2)が原因で聴き取れなかったときは、リスニング力の問題ではなく、単語・語彙力と文法・読解力を強化するのが課題です。

「自分の知らない単語」は聴き取れませんし、「読んで意味のわからない英文」は聴いても理解できないからです

3)が原因のときは、「読めば理解できる英語が聞き取れなかった」ということなので、ネイティブ音声の発音に着目してください。

個々の母音や子音だけなく、音の連結や脱落、強弱リズムを分析し、同じようにリピートできるようになれば、次からは聞き取れます。

発音分析スクリプトの音読トレーニング

私のクラスでは、英語ニュースのリスニング訓練をおこなう際、ナチュラルスピードの音声をリスニング用に、スロースピードのほうを、リピーティングやシャドーイングなどの通訳式訓練に使用しています。

音読練習するときは、まず無理のない速度でネイティブ音声の真似をするほうが、英文の強弱リズムや発音ルールを習得しやすいからです。

いきなりナチュラルスピードでついていこうとすると、舌が回らずに音が抜けたりリズムが狂ったりしたあげく、いい加減な発音になりがちなので気を付けましょう。

さらに、クラスでは、受講生が発音講座で学んだことを音読練習に反映できるよう、「発音分析の記号」の入ったスクリプトを配布しています。

「発音分析」とは、つまり、ネイティブ音声のナレーションを「強勢のある母音」「単語の連結」「子音の脱落」の観点から講師の私が分析し、色分けや下線の形で印を入れたものです。

こちらが、発音分析済みのスクリプト例です。

ナチュラルスピード


ややスロースピード


大きな赤い文字:強勢のある母音

下線:音の連結 ( ):子音の脱落

t,d,k,g,p,b:子音の飲み込み


Test-taking security measure(s) strengthened following cheating incident

As university entrance exams get underway, test-taking venues are enforcing stricter security measures, / including requiring examinees to show their phones, switch them off and put them away, as well as banning earphones. These follow a case last year in which a student sent a photo of a question via Skype.

発音分析済みのスクリプトを見ながらシャドーイングやリピーティングを反復練習すれば、強弱リズム、リンキングなどの発音ルールが自然に目に入り、読むときに意識せざるを得ないからです。

「英語の音の仕組み」が完全に頭に入れば、通常の英文原稿を読むときも、無意識に「英語らしいリズム」で音読できるようになります。

その段階に達するには、ある程度の地道な数稽古をこなしてフィードバックを受けることが重要です。

ひとりで音読訓練する場合は、必ず自分の音読を録音して、ネイティブの音声と客観的に聞き比べてみましょう。

以上、リスニング学習のご参考になりましたら幸いです。

明日は、長文の発音分析を学んだ後、それをスピーキング訓練に応用していく方法などをお伝えします。

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