【カタールW杯】決勝トーナメント・番狂わせ・逆転勝利・準優勝を英語で言うと?
サッカーのワールドカップ・カタール大会は、日本代表の予想外の活躍で大盛り上がりでしたね!
長友選手の「ブラボー!」は時期的に間に合えば、今年の流行語大賞候補だったでしょう。
私自身、4年に一度のW杯を日本が初出場した1998年フランス大会からいつも楽しみにしています。
さて、今回はW杯ファンのひとりとして、英語学習者の皆さんにぜひ覚えてほしい、と思う表現をいくつかご紹介します。
いずれもスポーツ関連の英語ニュースで頻出の語彙ばかりです。
知っておくと、英文記事の読解、リスニング、スピーキングに大いに役立ちますよ。
決勝トーナメントに進出する
まず基本的なルール確認です。サッカーW杯では、出場32カ国が4チームずつの組に分かれてリーグ戦を戦い、上位2チームが決勝トーナメントに進出します。
日本はドイツ・スペイン・コスタリカと同じグループに入りました。
この「グループで試合をする段階」を「the group stage」と呼んでいます。
「グループリーグ」は和製英語なので、英語では「the group stage」のほうが通じやすいです。
The top two teams in each group advance to the knockout stages.
(各グループの上位2チームが決勝トーナメントに進出する。)
「advance to(〜に進出する)」を「reach(〜に到達する)」に置き換えてもOKです。
「決勝トーナメント」は文字通り「負けたら終わりの一発勝負」で、引き分けがありません。
90分を終わって同点のときは延長30分(前半・後半15分)に進み、それでも勝敗が決まらなければPK戦で決着をつけます。
英語では「決勝トーナメント」を「the knockout stage(s)」といいます。
こういう表現は、そもそも知らなければ頭から出てきませんから、そのまま覚えましょう。
A host nation doesn’t have to go through the qualifying rounds.
(開催国は予選ラウンドを勝ち抜く必要がない。)
この「the qualifying rounds(予選ラウンド)」は、本大会の「グループステージ」ではなく、本大会への出場権を得るための「地域別の予選」を指しています。
日本ならアジア予選、ドイツやスペインはヨーロッパ予選です。地域ごとに出場枠が決められており、その枠内で代表権を争います。
例外として、開催国(今回はカタール)は予選ラウンドを勝ち上がる必要がなく、本大会にそのまま出場できます。
2002年の日韓共催のときもそうでしたね。
番狂わせを演じる・金星を上げる
優勝経験国のドイツ・スペインと同じグループに入った日本。
「死の組」で上位2チームに入るのは無理、という予想を見事に覆し、まず初戦のドイツ戦で逆転勝利しました。
Japan was the underdog in their match against Germany.
(日本はドイツ戦で勝ち目がないと思われていた。)
「the underdog 」は、スポーツの大会や音楽コンテスト、選挙戦で「勝ち目の薄い人やチーム」を指す名詞です。
日本語でいう「判官贔屓(ほうがんびいき)=弱いほうを応援する」の「弱いほう」を指しています。
また、これは安易に使うべきではないですが、「格下」という言葉もニュアンスが近いです。
いっぽう、実際に「負ける」と決まったわけではないので、「負け犬」とは意味が違います。
Japan pulled off a stunning upset over Germany.
(日本はドイツを相手に見事な番狂わせを演じた。)
句動詞の「pull off」は「やってのける」という誇らしい語感がにじみ出ており、個人的に気に入っている表現です。
「stunning」は「唖然とするような、驚くべき」を意味する形容詞です。
名詞の「upset」は、いわゆる「番狂わせ・波乱」を表しています。勝った側の立場では「金星」ですね。
なお、「upset」は「Japan upset Germany 2-1.(日本が2対1でドイツから金星を上げた。)」のように動詞としても使います。
The Samurai Blue stormed back to stun Germany in the second half of the match.
(試合の後半、サムライブルーは逆襲でドイツを圧倒した。)
「the Samurai Blue」は「サッカー日本代表」の愛称です。ここを「Japan」に置き換えてもOKです。
動詞「stun」は「仰天させる」ですが、ここでは「圧倒する」と意訳しています。
「to stun Germany」のto不定詞は「〜するために」という「目的ではなく」「結果」を表しています。
「stormed back to stun Germany(逆襲した結果、ドイツチームを仰天させた/圧倒した)」と、英語の語順のまま思考するとわかりやすいです。
日本が試合の前半とは全く別の攻め方をしたことにドイツが面くらい、圧倒されている様子を示しています。
試合の「the second half(後半)」に対し、前半は「the first half」です。
逆転勝利をおさめる
Two substitutes scored late goals to give Japan a come-from-behind victory.
(途中出場の選手2名が終盤にゴールを決め、日本に逆転勝利をもたらした。)
先発ではなく、「途中交代でピッチに送られる選手」を「substitute」と呼んでいます。
サッカーの試合では、レギュラーが必ずしもフル出場するわけではなく、切り札の選手を後半に投入する戦略もあるため、「補欠」と訳すと少々違和感があります。
「come-from-behind victory」の「come-from-behind(逆転の)」は、このカタマリで形容詞となって名詞「victory(勝利)」を修飾しています。
「[win / score] a come-from-behind victory(逆転勝利をおさめる)」などの表現があります。
または「come from behind(逆転する)」という動詞を使って、「Japan came from behind to win the match.(日本が逆転で試合に勝利した)」でもOKです。
代表チームの監督
Some Japanese fans tweeted apologies for underestimating the team’s head coach.
(日本のファンの中には代表監督の実力を見くびったことをお詫びツイートする人もいた。)
サッカーやアメフトの「監督」は、英語では通常「head coach」と呼びます。
ただし、イングランドなど一部地域では監督を「manager」と呼ぶこともあるようです。
今回は日本人の森保一(もりやすはじめ)監督でしたね。
動詞「underestimate(過小評価する)」は「under+estimate(低く評価する)」と分けて考えると覚えやすいです。
「一部ファンのツイート謝罪」と聞いてすぐ思い出したのが、2010 年南アフリカ大会でバズった「岡ちゃん、ごめんね」。
「すぐ負けるやろ」と期待されてなかった日本代表を、ベスト16へ導いた岡田武史監督に対する「ファンの謝罪の言葉」です。
「岡田監督、おみそれしました」というニュアンスの、実はユーモアの混じった感謝のセリフなんですよね。
これ、今大会の「ブラボー」と同じぐらい流行った記憶があります。誰かが最初にSNSでつぶやいたんでしょうか。
グループステージを突破する
第2戦でコスタリカによもやの敗北を喫し、背水の陣となった日本。
奇跡を二度起こすのは無理、と重い気分で迎えた最終スペイン戦・・・。
ところが、日本は再び2対1で逆転勝利し、みごとグループステージを突破しました。
日本代表のベスト16進出は、4年前のロシア大会に続く快挙です。
Japan beat Spain and went through the group stage.
(日本はスペインを破り、グループステージを突破した。)
beatは「beat, beat, beaten」の不規則変化で、現在形と過去形が同じです。
動詞の過去形「beat(破る)」を「defeated」に置き換えてもOKです。
が、「win」の過去形「won」をそのまま入れて「Japan won Spain」とすることはできません。
日本語の「スペインに勝った」につられそうですが、英語では「スペインを勝った」という意味になってしまいます。
実際には「スペインとの試合に勝った」ですから、「win」の直後に来る目的語は「対戦相手」ではなく、「試合」です。
この動詞を使う場合は「Japan won [its/the] match against Spain.」のような形に変える必要があります。
また、「go through(突破する)」を「pass」に置き換えて「Japan passed the group stage.」としてもOKです。
PK戦で敗れる
日本の決勝トーナメント1回戦の相手は、4年前のロシア大会で準優勝のクロアチアです。
試合は、日本が前半に先制したものの後半に追いつかれ、延長の末にPK戦へと突入。
その結果、2010年のパラグアイ戦と同様に、またもや痛恨の敗戦を喫しました。
Japan lost to Croatia in a penalty shootout.
(日本はPK戦でクロアチアに敗れた。)
「A lost to B.(AがBに敗れた。)」は動詞「lose(負ける)」の過去形を使った表現です。
受動態にして「Japan was [ousted / eliminated] by Croatia.(日本はクロアチア戦で敗退した。)」とすることもできます。
決勝トーナメントは負けたら終わりなので、大会から「oust(追い出す)」「eliminate(排除する)」という表現が使えるわけですね。
「PK戦」は「a penalty shootout」、または略して「penalties」となります。
文脈からPK戦とわかる場合は、「penalty」を省略して「Croatia won the shootout 3-1.(クロアチアは3対1でPK戦に勝利した。)」で通じます。
1つ1つのキックを表す「PK」は「a penalty (kick)」となり、「kick」は省略可能です。
通常、次の4パターンを覚えておけば説明できるでしょう。
■PKを蹴る: [take/shoot] a penalty
■PKを決める: score a penalty
■PKを外す: miss a penalty
■PKを止める: save a penalty
この他、「PK」の英訳として「a spot kick」という表現もあります。
敗者は荷物をまとめて退散
「oust(追い出す)」「eliminate(排除する)」に関連して、「A send B packing(AがBを追い払う)」というなんとも世知辛い表現があります。
Aには勝者、Bには敗者となる選手やチーム名が入り、「France sent England packing.(フランスがイングランドを撃破した。)」のように使います。
トーナメント形式の大会では、試合に負けたら「荷物をまとめて出ていく」ことになります。
実際、W杯でも決勝トーナメントで敗退したら、早々に荷造りして帰国を余儀なくされますよね…。
敗者に「packing(荷物をまとめること)」を求め、「send(出口へと送り出す)」立場になるのが勝者です。
その「弱肉強食の勝負の世界」を表す言い回しで、カタールW杯でも英文記事の見出しに使われています。
例)Penalty pain for Kane as France send England packing (SBS Sport)(ケインが痛恨のPK失敗で、フランスがイングランドを撃破)
※画像は、準々決勝でイングランドがフランスに敗戦した直後にうなだれるケイン選手。
ベスト8を逃す
今大会の日本代表の目標は「ベスト8」。決勝トーナメントで1回勝てば達成できるものの、この壁が厚いです。
「ベスト8」に残れば「準々決勝」なので、どちらの表現を使っても同じ意味になります。
Japan didn’t make it to the quarterfinals.
(日本は準々決勝に進出できなかった。)
「ベスト8」は和製英語です。英語では通常、「the top eight」「the last eight」となります。
「make it to A(Aに進出する)」は「advance to A 」や「reach A」に置き換えてもOKです。
この英文全体を「Japan missed its chance to advance to the last eight.(日本はベスト8への進出を逃した。)」と言い換えることもできます。
「準々決勝(the quarter-finals)」と「準決勝(the semi-finals)」は複数の試合があるので複数形、「決勝(the final)」は1試合なので単数形で使用します。
■準々決勝:the quarter-finals(4試合あるので複数形)
■準決勝:the semi-finals(2試合あるので複数形)
■決勝:the final(1試合なので単数形)
前回の準優勝チーム
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決勝トーナメント1回戦で日本に勝ったクロアチアは、前回(ロシア大会)の準優勝国です。
4年前も「延長とPKをことごとくモノにした」強豪で、「粘り強さ」が特徴です。
Croatia was the runner-up in 2018.
(クロアチアは2018年の準優勝国である。)
↑クロアチアの英語発音 /kroʊˈeɪ.ʃə/にご注意ください。
「the runner-up」は「(競技の)2位・準優勝者」を指す名詞です。
また、「決勝まで残った者」という意味で、婉曲的に「the finalist」と呼ぶこともあります。
「決勝まで進んだが、優勝者にはなれなかった者」というニュアンスが含まれています。
「優勝者」を表す「the champion」「the winner」と合わせて覚えておきましょう。
ちなみに、前回大会の優勝国はフランスでした。今回も優勝候補の一角です。
日本に辛勝したクロアチアは、なんと、準々決勝で優勝候補のブラジルまで撃破!
0-0で迎えた延長前半にネイマールに先制されるも、後半にしぶとく同点に追いつき、またもやPK戦に。
ブラジルのPKは日本やスペインほど外しませんでしたが、やはりクロアチアには勝てず。
クロアチアとの試合は、同点のままPKに引きずり込まれたら負ける…?! 恐るべき粘りです。
スペインやブラジルの敗戦を受け、(日本も同じぐらい強かったんじゃない?)と誇らしく思えてきました。
そして、続くアルゼンチン☓オランダ戦は乱闘騒ぎの大荒れとなり、こちらもPKの末にアルゼンチンの勝利!
「PKに持ち込ませずに勝ち切れ」なんて要求自体が無理やろ、ということが証明されました。
逆ハーフでは優勝候補のフランスと伏兵のモロッコが勝ち上がり、パリでは両方のサポーターが暴動を起こす騒動に。
決勝トーナメントが混戦模様になって、大会のほうはますます面白くなってきました。
メルマガの訂正)英語表現とは関係のない箇所なので、再送はしませんが以下の修正です。ボケボケで失礼しました。
フランスが連覇するのか、モロッコ、✗メキシコ(◯アルゼンチン)、クロアチアが阻止するのか、最後まで目が離せません。
PKに泣いた国は日本、スペイン、オランダ、そしてイングランド。⇒ ブラジルが抜けてました!
「やさしい英語ニュース」で取り上げた過去のW杯ネタ(一部)
▶ 日本が巧妙な手法で決勝トーナメントに進出【2018年7月2日】
▶ 本田のPKで日本が2014年W杯出場権を獲得 【2013年06月05日】
▶ 日本、PK戦でパラグアイに敗れる 【2010年06月30日】
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