「ポジティブフィードバック」のススメ
今回は、国際エグゼクティブコーチとしてご活躍中のヴィランティ牧野 祝子(まきの のりこ)さんの著書、
『国際エグゼクティブコーチが教える 人、組織が劇的に変わる ポジティブフィードバック』(あさ出版)を取り上げます。
祝子さんは、私が数年前にオンラインのビジネス塾で知り合った受講生仲間でもあります。
今年6月に出版された『ポジティブフィードバック』、ビジネスパーソンのニーズに合っていて、非常に売れています!
なんと、ベストセラー作家で精神科医でもある樺沢紫苑先生とホリエモンさんのお墨付きです。
一見、「企業の管理職が部下を育てるときのコツ」に特化しているようですが、読んでみると、「社会全般の人間関係」に応用できることがわかります。
私自身、現在は「オンライン英語塾の主宰者」として、受講生や講師の方々に接する際、この本の助言が大いに役立っています。
国際ビジネスパーソンの武器になる「ポジティブフィードバック」
私のオンライン英語塾「国際英語バイリンガル道場」受講生の皆さんやメルマガ読者さんは、「英語力を生かしてキャリアアップしたい人」が中心です。
この『ポジティブフィードバック』は、まさに、そういう方々にお勧めしたい一冊です!
というのも、国際ビジネスで活躍するには、英語力だけでなく、「心の持ち方」が非常に重要だからです。
日本人社会では、昔から「謙遜は美徳」であり、「沈黙は金」といわれます。「空気を読む」なんて言葉もありますね。
一般に、「自己評価が低めで、遠慮深い」日本人が多いのは、生まれ育った環境が影響している気がします。
が、国際社会でキャリアアップしたいなら、メンタルも「英語モード」にする必要があるのです。
職場や家庭で「ポジティブフィードバック」を日々実践していると、それが自然に身についてきます。
「フィードバック=ダメ出し」ではない!
「フィードバック」と聞いて、日本人がイメージするのは「改善点の指摘・ダメ出し」ですよね?
実際、日本の学校や職場で「フィードバック」といえば、マイナス点を指すのが普通です。
育児に関しても、欧米諸国ほどは「子どもを褒めて育てる」方針が根付いていない印象です。
が、祝子さんの提唱する「ポジティブフィードバック」は、その真逆です。
つまり、「相手の良いところを積極的にほめる」というフィードバックです。
本の中で、「感謝の気持ちは、言葉で伝えないと通じない」とも指摘されています。
日本流の「以心伝心」は、国際社会では通じにくい、ということです。
誰でも、ほめられたり、感謝の言葉を伝えられたら、うれしいものですよね。
日本人には新鮮な「ポジティブフィードバック」という方法、気軽に取り入れてみませんか。
高い英語力を身につけながら、「ポジティブフィードバック」が身につけば、まさに鬼に金棒です。
以下、本の中で「特に印象に残った箇所」を幾つか選んでご紹介します。
ポジティブフィードバック7つのコツ
Chapter4に「部下に伝わるポジティブフィードバック7つのコツ」として、次の項目が挙げられています。
いずれも、英語コーチとして私が学んだ内容と共通する点が多く、1つ1つに説得力があります。
1)承認と改善点の割合は8対2の割合で行う
2)ネガティブをポジティブで包む
3)「では、どうするか」と未来思考で考えさせる
4)改善点は相手への期待と共に伝える
5)言葉遣いや言い方をポジティブにする
6)一緒に考えて、相手に答えを出してもらう
7)「どう思う?」と聞いてみる
具体的なコツは書籍『ポジティブフィードバック』に詳しく説明されていますので、そちらをご覧ください。
このうち、私自身が特に心がけたいのは2)の「ネガティブをポジティブで包む」方法です。
祝子さんの言葉を借りると、これは「サンドイッチ方式で、ネガティブフィードバックをポジティブで包むこと」です。
こうすべき理由は、最初と最後にポジティブなメッセージを伝えることで、相手の気持ちが前向きになるからです。
普段、英語講師として受講生を指導していると、つい改善点に注意を向けてしまいがちです。
が、スピーキングや文法が上達していることも多いので、「良くなった点」も一緒に伝えるように注意したいです。
魔法の言葉「How can I help you?」
日本では、フィードバックは「上司から部下に対してするもの」という考えが一般的です。
が、「360度フィードバック」という言葉があるように、海外では、部下や同僚からフィードバックを受けることが多いとか。
その際、「部下や同僚からのポジティブフィードバックを引き出す魔法の言葉」として、祝子さんが勧めてくれたのがこちら。
「How can I help you?」(何かしてほしいこと、ある?)
実際に、部下の想いを吸い上げるマジックワードとして機能し、相手との距離感がグッと縮まったそうです。
私の場合は、英語コーチングの個別セッションの場で、この言葉が威力を発揮しそうです。
先ほどの個別セッションでさっそく実践したところ、グループレッスンの進め方について、貴重なリクエストをしてくれました!
ポジティブフィードバックには受容と感謝を!
ポジティブ・フィードバックをもらったら、それを受容し、笑顔でお礼を伝えましょう (Chapter 5 207ページ)
日本人に多いのは、能力をほめられたら、「そんなことないですよ。私なんてまだまだ」と謙遜してしまうパターンです。
一見、丁寧にへりくだっているつもりが、実は、「ほめた相手もあまり良い気がせず、ほめられたほうも成功体験にならない」とのこと。
こういうときは、「素直にお礼を述べて受け止めましょう」というのが祝子さんのアドバイスです。
これはズバリ、普段の英語学習の姿勢にも応用できる習慣です。
“You speak English well.” とほめられたら、”No! My English is poor.” と全否定するのはお勧めしません。
そうではなく、”Thank you.” と、まず感謝の言葉を伝えましょう。
その後、”I’m still learning.” と補足すれば、自慢している印象を与えなくて済みますよね。
ポジティブフィードバックが恥ずかしいときの解決策
今までの人生の中でポジティブフィードバックが上手だった人(ロールモデル)を思い出してみてください。(巻末付録 236ページ)
周りに思い当たる人がいないときは、尊敬する経営者やYouTubeで動画を見たことがある人などでもいいでしょう。(巻末付録 237ページ)
「ポジティブフィードバック」に慣れておらず、「気恥ずかして実践できない」という悩みに対する祝子さんの助言です。
「ロールモデルを見つけて、その人だったらどう言うか考える」「役になりきって演じる」という手法は、英語のスピーチ練習でも使えるテクニックです。
つまり、身振りをつけ、感情を込めてスピーチするのに抵抗がある場合、お気に入りの有名人(俳優やキャスター、政治家など)の口真似をしてみるのです。
「今、話しているのは本来の自分ではなく、役を演じているだけ」と思えば、恥ずかしい気持ちがなくなる、というわけです。
意外なところで、また1つ、「ポジティブフィードバック」と英語学習の共通点がありました。
祝子さんのプラス思考と行動力の源泉がここに!
オンラインのビジネス塾で祝子さんに出会ったとき、知的でサバサバした雰囲気と、滑舌の良い話し方が非常に印象的でした。
10カ国で仕事をされ、現在はイタリアのミラノにお住まいという経歴もあり、まさに「バリキャリ」という感じのカッコいい女性です。
その日本人離れした「プラス思考と明るさ、半端ない行動力」の源泉が、この本を読んで少しずつわかってきた気がします。
『ポジティブフィードバック』の中で推奨されている思考や行動について、できるものから着実に実践していこうと思います。
「国際エグゼクティブ・コーチ」祝子さんとの出会い、この本との出会いに感謝を込めて・・・。
『国際エグゼクティブコーチが教える 人、組織が劇的に変わる ポジティブフィードバック』
評価、注意、できていない(ネガティブな)ことの指摘と答えるリーダーは少なくない。
しかし、時代が変わり、部下が求めるもの、成長に必要なことが変わってきた。
部下は、自分が「貢献できている」「成長している」と感じたときに、仕事へのモチベーションが最も高まる。
「年1度の上司から部下への評価」から「週5分、部下のやる気を引き出す伝え方」へシフトすることで、個人とチームの効率&生産性を最大化させることができる。
本書では、世界10カ国でキャリアを積んだリーダーが、部下一人ひとりの強みを引き出し、成長させるポジティブフィードバック( FB )を使用した伝達法を指南する。
世界のエリートが実践する“やる気を爆増させる FBの ノウハウ”の紹介から、シーンごとにどんなFBをすればよいか、言葉の選び方、タイミングなど実践の仕方まで、これまでなかった、ポジティブフィードバックの本。
– Amazonの紹介文より引用
▶ 『国際エグゼクティブコーチが教える 人、組織が劇的に変わる ポジティブフィードバック』
ヴィランティ牧野祝子さんのご経歴
コロンビア大卒、仏INSEADビジネススクールMBA修了。20年国内外10ヵ国で、途中出産育児によりキャリアが中断しながらも、米系戦略コンサル、仏系化粧品会社、英系酒販会社、伊系ファッションなど多業種において国際的キャリアを積んだ後に、国際エグゼクティブコーチとして独立。イタリア・ミラノ在住。3児の母。 - 公式サイトより
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“「ポジティブフィードバック」のススメ”へ1件のコメント
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職場に4月から新卒が部下として配属され、教育を任されているのですが、日ごとに教えるよりも教えられることが増えていくように感じています。若手(それ以外も)職員を見ていると、学歴も含め優秀な人ほど自己評価が高く素直で、仕事もどんどん覚えて成長していきます。相手を受け止め、How can I help you?(=自分がどうやって相手(組織)に貢献できるか)を意識していれば、上司、部下双方が成長できるのでしょうね。ポジティブフィードバックは学んでみたいと思います。この本読んでみたくなりました。