英文で読む【最高裁が逮捕歴ツイート削除命令】
ツイッターに投稿された過去の逮捕歴が閲覧できるのはプライバシー侵害だとして、最高裁が6月24日、アメリカのツイッター社に投稿削除を求めました。
元の記事が既に削除されていることなどが考慮されたようです。
今週のディクテーション課題は、この話題についての英文記事「Japan’s top court orders Twitter to delete posts on man’s past arrest」を土台に作成しました。
使われている語彙や表現を学び、ディクテーション課題に取り組む際の参考にしてくださいね。
SNS時代を象徴する「デジタル・タトゥー」という言葉も、合わせて覚えておきましょう。後半の段落で解説しております。
英文記事で読み解く「最高裁が逮捕歴ツイート削除命令」
取り上げる「Kyodo News」の英文記事はこちらです。
Japan’s top court orders Twitter to delete posts on man’s past arrest:Kyodo News(June 24, 2022)
こちらは、同じテーマを扱った和文記事です。
建造物侵入容疑の逮捕歴投稿、ツイッター社に削除命令…最高裁が逆転判決 :読売新聞オンライン(2022年6月24日)
※一定期間を過ぎると、記事が削除されている場合があるのでご了承ください。
今回の学習コラムでは、英文記事から「ディクテーション課題に関連した内容」と「日本人が間違えやすい文法・表現」の含まれた段落を抜粋しました。
英文読解の参考となるよう「和訳例」「語句の解釈」「ミニ解説」を入れています。
また、和訳は、英語の流れに沿って訳す「サイト・トランスレーション」形式にしました。
では、英文記事を順に読み解いていきましょう。
最高裁がツイッター社に逮捕歴の投稿削除を命令
Japan’s top court on Friday / overturned a lower court ruling / that dismissed a man’s demand / that Twitter Inc. delete posts / showing his arrest history, / ordering the U.S. social networking service / to remove 14 tweets. :「Kyodo News」 より
和訳例)日本の最高裁は金曜日、/ 下級裁の判決を覆した、/ その男性の請求を棄却する内容の、/ ツイッター社が投稿を削除することを求めた、/ 彼の逮捕歴を示している、/ この米国のソーシャル・ネットワーキング・サービスに命じながら、/ 14件のツイートを削除するよう。
overturn(動)覆す、tweet(名)ツイート、つぶやき
ミニ解説)「top court」は「最高裁判所」を表しています。正式名は「Supreme Court」です。
「that dismissed a man’s demand」の「that」は、関係代名詞の主格です。先行詞は直前の名詞「ruling」です。
「a man’s demand that Twitter Inc. delete posts」の「that節」が、「demand(請求)」の具体的内容を示しています。
ここは、「Twitter Inc. (should) delete posts」と助動詞「should」が省略されたものと解釈します。
「the U.S. social networking service」は、前述の「Twitter Inc. 」を別の表現に言い換えたものです。
英文記事では、同じ単語の繰り返しを避ける傾向があります。
なお、日本語の「SNS」は、英語では「social media」と表現するのが普通です。
逮捕歴の削除には厳格な基準あり
At that time, the court decided / that the deletion of search results can be allowed / only when / the significance of privacy protection / clearly outweighs / that of information disclosure. :「Kyodo News」 より
和訳例)当時、裁判所は判断した、/ 検索結果の削除が認められると、/ 以下の場合に限って、/ プライバシー保護の重要性が、/ 明らかに優越するという、/ 情報公開の重要性に。
significance (名)重要性、outweigh(動)〜より勝る、disclosure(名)公表
ミニ解説)「At that time(当時)」とは、英文記事で直前に取り上げている「2017年1月」を指しています。
このとき、最高裁が検索サイト「グーグル」の検索結果に関して、削除を認めないという決定を出しています。
「that of information disclosure」の代名詞「that」は、前述の「the significance」を表しています。
「Digital Tattoo(デジタル・タトゥー)」とは
英文記事の第6段落に、SNS時代を象徴する「digital tattoo(デジタル・タトゥー)」という言葉が使われています。
「digital tattoo(デジタル・タトゥー)」は、「digital(デジタルの)」と「tattoo(刺青、タトゥー)」を組み合わせた造語です。
「インターネット上に投稿された文字や画像は、いったん拡散されると、半永久的に記録が残る」という意味です。
この現象を、「身体から完全に消すことが難しい入れ墨(タトゥー)」に例えた表現です。
まさに、今回の英文記事のテーマを端的に示した言葉ですね。
2013年2月にカリフォルニア州で行われた「TEDカンファレンス」で取り上げられ、広く知られるようになりました。
この講演をおこなったフアン・エンリケス氏は、メキシコ系アメリカ人の研究者・実業家です。
フアン・エンリケス: タトゥーのように残るあなたのオンラインライフ
従来のタトゥーからデジタル・タトゥーへと話が移行する導入の仕方、ネット投稿をギリシャ神話になぞらえる注意喚起が秀逸です。
普段の何気ないネット検索やSNS投稿で個人情報がネット上に蓄積されている…と思うと、なんだか怖いですね。
そういえば、最近、Googleニュース検索で「あなたにお勧めの情報」が表示されると、ちょっと複雑な気分になります。
以上、「ディクテーション課題に関連した内容」と「日本人が間違えやすい文法・表現」を抜粋して解説しました。
今週のディクテーション課題は、この解説コラムで取り上げた英文記事が土台になっています。
英文の「聞き取りのヒント」として、答案提出前に読み込んでおいてくださいね。
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