英文で読む【同調圧力でマスク着用の日本人】
新型コロナの新規感染者が緩やかな減少傾向を示す中、日本政府が最近、「マスク着用義務」を大幅に緩める発表をしました。
が、欧米とは対象的に、日本ではまだ「マスクを外せない」人たちが多いようです。
今週のディクテーション課題は、この話題についての英文記事「Tokyoites still wearing masks outdoors to avoid sticking out」を土台に作成しました。
使われている語彙や表現を学び、ディクテーション課題に取り組む際の参考にしてくださいね。
英文記事で読み解く「同調圧力でマスク着用の日本人」
取り上げる「The Asahi Shimbun」の英文記事はこちらです。
Tokyoites still wearing masks outdoors to avoid sticking out :The Asahi Shimbun(May 26, 2022)
こちらは、同じテーマを扱った和文記事です。
同調圧力でマスク着用を続ける日本人 高齢者にリスクとの指摘も…酸素濃度の低い空気が招く病気とは :デイリー新潮(2022年6月4日)
※一定期間を過ぎると、記事が削除されている場合があるのでご了承ください。
今回の学習コラムでは、英文記事から「ディクテーション課題に関連の深い段落」を抜粋しました。
英文読解の参考となるよう「和訳例」「語句の解釈」「ミニ解説」を入れています。
また、和訳は、英語の流れに沿って訳す「サイト・トランスレーション」形式にしました。
では、英文記事を順に読み解いていきましょう。
政府の発表:社会的距離を保てば屋外でのマスクは不要
Despite the government’s eased policy / on outdoor face-mask use, / most people in Tokyo / are still wearing the anti-virus gear, / with many citing peer pressure / as the reason.
The government on May 20 said / the masks are not necessary outdoors / among people / who maintain a proper social distance. / But it recommended their use / on trains. :「The Asahi Shimbun」 より
和訳例)政府の緩和政策にもかかわらず、/ 屋外でのマスク使用における、/ 東京のほとんどの人々が、/ このウイルス防止装備(=マスク)をまだ着用している、/ 同調圧力を挙げながら、/ 着用の理由として。
政府は、5月20日に述べた、/ マスクは、屋外で不要であると、/ 人々の間で、/ 適切な社会的距離を保っている。/ が、(政府は)マスク着用を推奨した、/ 電車内での。
gear(名)道具・装備、cite(動)引用する、peer(名)仲間、同等の者
ミニ解説)「anti-virus gear」は「mask」という名詞の置き換え表現です。英文記事では、同じ単語の繰り返しを避ける傾向があります。
ただし、日本語にはそのような特性がないため、和訳するときは「マスク」と意訳したほうが自然です。
「peer pressure(同調圧力)」は、日本語に訳すと小難しくなりますが、日本社会での典型的な風潮といえるでしょう。
記事中の次の一節が、この「peer pressure(同調圧力)」にしたがう現象を端的に表しています。
“If more people take them off, I may follow suit,” he said.
「もっと多くの人がマスクを外したら、自分もそれにしたがう」・・・つまり「周囲の人たちと同じようにふるまう。自分だけ違った行動をとらない」という意味ですね。
「peer pressure」は、周囲にいる「peer(仲間)」たちが、自分たちと同じように考えて行動するよう、暗黙の「pressure(圧力)」をかけることを指しています。
「social distancing」には、「対人距離を確保すること」「感染症対策において、人と人の距離を開け、接触機会を減らすこと」という意味になります。
また、この記事では「maintain a proper social distance」となっていますが、通常、英語での「social distance」は社会学の用語で、「心の距離」を表します。
日本語の「ソーシャル・ディスタンス」に当たる英語は「social distancing」で、「感染対策として、十分な距離を取ること」を示しています。
同様の言い方に「physical distancing(物理的距離の確保)」という表現もあります。こちらのほうが、直接的でわかりやすいですね。
政府の発表:サイクリングやジョギング時のマスクは不要
The government’s announcement / on May 20 / also said / masks are not necessary / when people are cycling or jogging. / On the afternoon of May 21, / the area around the Imperial Palace / was crowded with runners.:「Kyodo News」 より
和訳例)政府の発表は、/ 5月20日の、/ また述べた、/ マスクは不要であると、/ サイクリングやジョギングをするとき。/ 5月21日の午後、/ 皇居の周囲は、/ ランナーで混雑していた。
ミニ解説)ここでの「people」は一般的な人々を表しています。
特定の日を示すときは、「On the afternoon」と前置詞が「on」になります。
「(the) Imperial Palace」は「皇居」の英訳です。
この政府発表を受けて、「A 49-year-old company employee was running without a mask. 」など、マスクを付けずにジョギングする人の例が幾つか紹介されています。
以上、「ディクテーション課題に関連の深い段落」を抜粋し、重要な語彙や表現について解説しました。
今週のディクテーション課題は、この解説コラムで取り上げた英文記事が土台になっています。
英文の「聞き取りのヒント」として、答案提出前に読み込んでおいてくださいね。
Topicに関する感想・意見のコメントを募集中!
このTopicについて、あなたの感想や意見をコメント欄にぜひ投稿してください。英文でも日本語でもOKです。
※英文のみはスパム判定される場合があるため、日本語のメッセージを簡単に添えていただけると助かります。
※スパム防止のため、コメントは承認制となります。順次公開しますので、しばらくお待ちください。
【中級レベルを今度こそ脱却したいあなたへ!】
英語ニュースを正確にリスニングしたい方、中級から上級へ確実にレベルアップしたい方、メルマガの「穴埋めリスニングQuiz企画」に無料で参加しませんか。
ディクテーションとは、「英文を見ずに音声を聞いて、正確に書き取る訓練方法」です。
火曜15時の〆切までにQuiz答案を提出した方を対象に無料採点をおこない、不正解箇所から、リスニングや語彙・文法などの弱点を特定します!
“英文で読む【同調圧力でマスク着用の日本人】”へ2件のコメント
この投稿はコメントできません。
ようやくコロナが収まってきたのにマスクから解放されない理由が同調圧力とはなんとも情けないです。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という古~いコントを思い出しました。人と違う行動をとることを極端に恐れ、足並みをそろえて協調性を保つことを何よりも重んじる社会から多様性はなかなか生まれてこないと思います。「マスク外せない」問題もその現れの一つのような気がします。
この雑誌が「同調圧力」と言ってるだけで本当にそうなのかは疑問が残ります。そもそも同調圧力に関して他人事のように記事にするマスコミはたいしたものです。