ウクライナを鼓舞する愛国歌が世界に拡散!

世界の人々の魂に響くミュージシャンの歌声

ウクライナの人気ボーカル、アンドリーイ・クリヴニュークが2月末にInstagramにアップした映像が、世界中のSNSで拡散しています。

キーウの防衛隊への入隊を控えた彼が、軍服を着て銃を持った姿で広場に立ち、朗々と歌う姿は実に印象的で、思わずハッと耳を傾けてしまうほど。

ウクライナ語の歌詞が理解できないのに、こんなにも心の琴線に触れるのはなぜなんでしょうか。

↑南アフリカのミュージシャン、キフネス(デビッド・スコット:左)とアンドリーイ(右)のリミックス動画です。

いろんなミュージシャンとのコラボ動画の中で、これが一番気に入っているので最初に持ってきました。

こちらはキフネスのTweetです。彼がアンドリーイにコラボ企画を提案したとのこと。

「彼(アンドリーイ)は親切にも、自分がウクライナのフォーク・ソングを歌った最近の動画(=Instagramにアップした映像)のリミックス作成を了承してくれたんだ。」と、感謝の気持ちをつづっています。

また、曲の売上は全て、ウクライナ軍への人道的支援に寄付されるようです。

リミックス (remix) とは、複数の既存曲を編集して新たな楽曲を生み出す手法の一つ。:「Weblio国語辞典」より

ウクライナ愛国歌「ああ, 草原の赤きガマズミよ」

アンドリーイが歌ったのは、第一次世界大戦中に作られた「ああ、草原の赤きガマズミよ(英題:Oh, The Red Viburnum In The Meadow)」という反戦歌です。

ウクライナがロシアに侵攻されて以来、同国支援の活動の中で、世界各地で歌われてきました。

ガマズミ:山地や丘陵地の明るい林や草原に生えるレンプクソウ科ガマズミ属に属する落葉低木。(Wikiより)

※「赤きガマズミ(=ガマズミの赤い実)」は「ウクライナのシンボル」です。

歌詞の和訳(大意)「Sony Music」のサイトより

※原語はウクライナ語

草原の赤いガマズミが頭を低くもたげている

栄光の祖国ウクライナの悩める姿のように

その赤いガマズミを私たちは引き受け 育てよう

そして私たちは 栄光の祖国ウクライナは

さあ 立ち上がろう 勝利の喜びを

その赤いガマズミを私たちは引き受け 育てよう

そして私たちは 栄光の祖国ウクライナは

さあ 立ち上がろう 勝利の喜びを

多くのミュージシャンとのコラボ動画に発展

アンドリーイの歌はその後、世界中のミュージシャンや一般市民とのリミックス動画に発展していったようです。

次の作品も非常に完成度が高く、歌声のハーモニーが素晴らしいです。

オンライン上のコラボは後で加工できるので、可能性が無限に広がりますね。

追記)サムネイル画像の左下に映っている男女の集団は、ウクライナのオペラ歌手の人たちです。

西部の街リヴィウの広場で、彼らがウクライナ国歌を披露する映像を組み合わせています。

この反戦歌とは違う歌を歌っているため、よく聞くと音声は消してありますね…。

ピンク・フロイドがウクライナ支援で28年ぶりに新曲

アンドリーイとのコラボ作品のうち、最も話題を集めたのが、イギリスの伝説的バンド、ピンク・フロイドの新曲ではないでしょうか。

新曲のレコーディングが「1994年以来の28年ぶり」というのが凄いですね。

ピンクフロイド、ウクライナ支援で28年ぶりの新曲 (CNN. co. jp)

英国の伝説的なロックバンド、ピンクフロイドは7日の声明で、ウクライナ国民を支援するため8日に新曲「ヘイ・ヘイ・ライズ・アップ」をリリースすると明らかにした。

ピンクフロイドが新曲を発表するのは1994年以来。収益はすべてウクライナの人道支援に充てるという。

声明によると、新曲はギタリストのデヴィッド・ギルモアさん、ドラマーのニック・メイスンさん、ベーシストのガイ・プラットさん、キーボード奏者のニティン・ソーニーさんによって演奏される。

ボーカルには、ウクライナのバンドに所属するアンドリー・フリブニュクさんが首都キーウ(キエフ)中心部で歌う音声を使用した。曲は第1次世界大戦中につくられた反戦歌で、ここ1カ月間、ロシアの侵攻への抗議として世界中で取り上げられていた。

曲のタイトル「Hey Hey, Rise Up」は、原曲の一節「さあ 立ち上がろう 勝利の喜びを (Hey Hey, Rise Up and Rejoice)」に由来しているとのこと。

この動画で特筆すべきなのは、「ロシアのウクライナ侵攻」や「戦禍に苦しむウクライナ国民」の映像を映す「タイミングの絶妙さ」でしょうか。

中でも印象的だったのは、ウクライナの戦地に残る若い父親が、幼い娘をバスに乗せて避難させる場面です。

※歌の合間の間奏の部分(2分49秒〜3分あたり)で流れるドキュメンタリー映像です。

涙をこらえながら別れを惜しむ彼の苦悶の表情が、脳裏に焼き付いて離れません。

Twitterでも、「ピンク・フロイドが先週、ほぼ30年ぶりにオリジナルの新曲を発表した」とReutersが取り上げています。

ウクライナ難民が先導するリトアニアでの合唱

最後は、ウクライナ難民の女性がリトアニアの人たちと合唱するバージョンです。

リード・ボーカルのこの女性、元歌手だったんでしょうか?リトアニアの皆さんも半端なく上手ですね。

こちらのTweetでは、「アンドリーイの歌、ピンク・フロイドのバージョン、そしてコレ」と3つを並べ、「All so chilling and touching(どれもゾクッとするほどジーンとくる)」と絶賛しています。

ウクライナ侵攻終結への願いを込めて

当初、連休中はメルマガとブログ更新を休止する予定でした。

が、この歌を自分の記憶に深く刻み込み、そして、ひとりでも多くの方に聴いていただくため、急遽記事にしました。

この歌に英語版があったら気軽に練習できたのに、と思う反面、聴いた瞬間、意味がわからないのに心を打たれたのも事実。

アンドリーイの歌声に込められた、ウクライナの人々の気高い志と苦しみが、痛いほど伝わってきたからでしょうか。

「短調のメロディー」や「情感あふれる歌い方」・・・一瞬ですべてに引き込まれ、涙がボロボロこぼれてきました。

彼はウクライナの防衛隊への入隊後、「迫撃砲で負傷した」と報道されていて心配です。

世界中の人々を感動させた歌唱力の持ち主が、武器を持って戦ったという厳しい現実。

(どうか、この理不尽な戦争が1日も早く終わりますように)と、まさに祈るような気持ちです。

We stand with Ukraine, Andriy! Stay alive!

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ウクライナを鼓舞する愛国歌が世界に拡散!”へ5件のコメント

  1. 謡胡 より:

    Aki先生、歌のシェアをありがとうございます。

    ウクライナ兵士の勇ましい歌声と裏腹に、子どもと離れ離れになる若い父親の悲痛な表情に胸打たれました。

    歌というのは、本当に聞き手の心を動かす力がありますね。

    実は今、私(英語講師)は、生徒達とのリモート合唱動画の作成中です。ウクライナの平和、世界の平和を願い、「Imagine」を歌いました。

    Imagineの理想のような世界は叶わぬ夢でしょうか。

    勇ましい歌声が戦火に散ることなく、平和を謳歌できる日が来ますように祈ります。

  2. J より:

    この場にふさわしくないコメントかも知れませんが,老人がこの曲の冒頭を聞いて頭に浮かんだのは,ロシア民謡「カチューシャ」でした。

    歌詞の内容はまったく異なりますが。

    https://www.youtube.com/watch?v=xrOz82vkhZ0

    ウクライナとロシアは,やはり近いのでしょうね。

  3. Yulka より:

    素晴らしいコラムをありがとうございます!ピンク・フロイドの新曲のニュースは見ていたもののまだ聴いておらず、しかもこんなに素敵なコラボレーションがあったとは!

    やはりどんなジャンルにおいても「歌」のエネルギーはいちばん大きいと思います。魂が、楽器を通してではなく直接伝わるからでしょうか?

    歌詞が理解出来なくても感動するのは、音楽を心で感じるからですよね。歌詞は頭で理解して、自分でメロディーと結びつけるというか…もちろんメロディー+歌詞がものすごい相乗効果も生むのですが。

    美しい音楽は「祈り」を導きますね。

    この歌も、スティングの「Russians」も然り。自然と目を閉じて平和を祈る、そのような気持ちになります。

  4. Misha より:

    Aki-sensei

    Thank you for sharing the beautiful video! I didn’t understand a word, but the sound of the singer’s powerful voice moved me so much that tears rolled down my cheeks. I’m going to watch the other videos you’ve shared, too! The pen is mightier than the sword. So is music. Let’s hope many more people will watch these videos, pray, and think about what they can do for Ukraine.

    何度か聞いたらメロディが頭から離れなくなりました。力強くも物悲しい良い曲ですね。

  5. ともへび より:

    魂の揺さぶられるような歌声シェア、ありがとうございます。

    ウクライナ語の歌詞がわからなくても自然に込み上げてくる涙を、外出先で必死に抑えながら聴きました。

    終戦の訴えでなく、平和の喜びをかみしめる気持ちからこの歌が歌われる日が、1日でも早く訪れますように…

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