「世界に響きわたる平手打ち」がアカデミー賞の話題をさらう【“Slap heard round the world” steals spotlight at Oscars】
英語ニュースの記事と動画で通訳式トレーニング!
Step1:穴埋めディクテーション
【説明を表示】“Slap heard round the world” steals spotlight at Oscars
At the 2022 Academy Awards, ①( ) that ②( ), but an incident in which Best Actor nominee Will Smith ③( ) Chris Rock ④( ) Smith’s wife.
Step2:重要単語と語句
slap(名)平手打ち
“– heard round the world”(名)「世界に響きわたる –」
steal [the] spotlight(動)主役を食う、主役の座を奪って注目を集める
coverage(名)マスコミ報道
nominee(名)候補者、ノミネートされた人
Step3:ミニ解説
◆ “Slap heard round the world” steals spotlight at Oscars 「世界に響きわたる平手打ち」がアカデミー賞の話題をさらう
英文記事のタイトルでは、直近の過去の出来事を現在形で示し、冠詞やBe動詞を省略する傾向があります。
通常の英文に直すと、以下のようになります。( )が変更・補足した箇所です。
(The) “(s)lap [which was] heard round the world” (stole the) spotlight at (the) Oscars.
「“Slap heard round the world“(世界に響きわたる平手打ち)」は、「The shot heard round the world(世界に響きわたった銃弾)」という、アメリカ独立戦争の開始を表す有名なフレーズをもじった表現です。
「slap」の後に「which was(関係代名詞の主格+Be動詞)」を補い、「heard」を受け身の過去分詞と解釈します。
オリジナル表現ではなく、アレンジしたものなので、引用符(” “)がついています。
“Slap heard round the world” のような凝った言い回しは、「英語圏の歴史・文化の背景知識」がないと思いつきませんね。
まさに、アメリカ人ライターならでは、の「こなれた英語表現」だといえます。
「steal the spotlight」とは、文字通り「スポットライトを盗む」、つまり、「主役ではない人が注目を集め、主役の座を奪うこと」を意味します。
ここでの「the Oscars」は、受賞者に贈られるオスカー像ではなく、「アカデミー賞」を指しています。
◆ it was not a film, actor or director 映画でも俳優でも、監督でもなく、
「not A, B or C」で、「AでもBでも、Cでもない」と全てを否定する意味となります。
3つ以上のものが列挙される場合に、最後の項目の直前に「or」が入ります。
「film」の前の不定冠詞「a」は、次の「actor」と「director」の後に付く不定冠詞も兼ねています。
「A, B or C」は、「or」の直前の名詞の後にコンマを入れて、「A, B, or C」と表記することもできます。
コンマを入れるほうが文法的に正しいのですが、今回のように、「単体の名詞を羅列するとき」はよく省略されます。
◆ that drew the most attention and media coverage, 最大の注目とマスコミ報道を集めたのは、
前のチャンクから始まるこの文章は、「it was not ~ that ~」という構文です。
「it」は形式主語で、事実上の意味は「that」以下の「最も多くの注目とマスコミ報道を集めたもの」となります。
◆ but an incident in which Best Actor nominee Will Smith ある出来事だった、主演男優賞候補のウィル・スミスが
「it was not A but B(AではなくBだった)」の B にあたる部分が「incident in which~(~という出来事)」です。
関係代名詞「in which」は、「Best Actor nominee Will Smith walked onstage and slapped comedian Chris Rock in an incident」の「in」が、「which」の前に配置されてこの形になっています。
◆ for making a joke about Smith’s wife. (ロックが)スミスの妻をからかったために。
ウィル・スミスの妻ジェイダ・ピンケット=スミスは、円形脱毛症に悩んだことを公表しており、髪型を丸刈りにしています。
授賞式の司会者クリス・ロックが、ジェイダの髪型をネタにしたため、夫のウィルが怒って平手打ちを食らわせた、というのが出来事の経緯です。
Step4:スラッシュ・リーディング
【説明を表示】“Slap heard round the world” steals spotlight at Oscars
At the 2022 Academy Awards, / it was not a film, actor or director / that drew the most attention and media coverage, / but an incident in which Best Actor nominee Will Smith / walked onstage and slapped comedian Chris Rock / for making a joke about Smith’s wife.
Step5:サイトトランスレーション
【説明を表示】Step6: 反訳トレーニング
【説明を表示】Step7:スピード音読
【説明を表示】“Slap heard round the world” steals spotlight at Oscars
At the 2022 Academy Awards, it was not a film, actor or director that drew the most attention and media coverage, but an incident in which Best Actor nominee Will Smith walked onstage and slapped comedian Chris Rock for making a joke about Smith’s wife.
英文の参考記事:BBC News (March 28, 2022)
>> Will Smith hits Chris Rock on Oscars stage
日本語の参考記事:BBC News Japan (2022年3月28日)
>> ウィル・スミス氏、アカデミー賞授賞式でプレゼンターを平手打ち 生放送中に放送禁止語も
編集後記
現在、「通訳式やさしい英語ニュース」の英文原稿を、プロのアメリカ人ライター(Colin Smith氏)に毎週依頼しています。
日米バイリンガル翻訳者なので文章がうまくて当然ですが、今回は特に、原稿を見た瞬間、(お〜、さすが)と感心しました。
まず、“Slap heard round the world”(世界に響く平手打ち)や、”steals spotlight at Oscars”(アカデミー賞授賞式の主役の座を奪った)などのタイトル表現が凝ってます。
また、本文も “it was not a film, actor or director that drew the most attention and media coverage,”(最大の注目とマスコミ報道を集めたのは、映画でも、俳優でも、監督でもなかった)という、「もったいぶった始まり方」が劇的で引き込まれます。
実は、去年10月から依頼を開始した当初、書くことが得意なせいか、原稿の英文がだんだん長くなる傾向がありました。
その結果、私のニュース英語クラス受講生の「学習負担が著しく増えてしまう」という思わぬ事態に・・・。
このため、今年4月から「本文は50単語以内に仕上げて」と字数制限をつけるようにしました。
たぶん、今ぐらいの分量が「発信型の英語ニュース教材」としてはちょうど良いのではないでしょうか。
さて、「ウィル・スミスの平手打ち」の土台となった「BBC News」の英文記事について、学習コラムで2回に分けて解説しています。
この話題に関する英語表現と背景知識をさらに深く学びたい方は、こちらも合わせてご活用ください。
BBCで読む「ウィル・スミスの平手打ち」
BBCで読む「ウィル・スミスの平手打ち」前半
BBCで読む「ウィル・スミスの平手打ち」後半
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ご参考までに、今週の時事Topicについての感想・意見の例を1つ挙げておきます。
Violence as a response to speech is unacceptable, and as a famous actor, Will Smith is a role model for many young people, so he needs to act responsible. The people who won Oscars are also victims, because the public is talking mainly about #TheSlap and not about the films, performers, and directors.
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