成人年齢が4月から18歳に引き下げ
日本の法律では、長らく「成人年齢は20歳」とされてきました。
が、民法改正によって、今年(2022年)4月から18歳に引き下げられます。
ただし、これまでと同様、20歳にならないと許可されない物事もあります。
今回の学習コラムは、「成人年齢の引き下げ」をテーマにお届けします。
「Mainichi Japan」で読み解く「日本の成人年齢の引き下げ」
最初に「Mainichi Japan」の英文記事をごらんください。
上記の英文記事の元になった「毎日新聞」の日本語版はこちらです。
ここから、英文記事の主要部分を読み解いていきます。
英文読解の参考となるよう「語句の解釈」「ミニ解説」を追加しています。
改正民法で成人年齢が146年ぶりに引き下げ
まず、冒頭の段落です。この部分を読むと、全体の要点がわかります。
The revised Civil Code will come into effect on April 1, officially lowering the age of majority in Japan from 20 to 18. This will mark the first time in 146 years in the country that a change is introduced to the basis for one’s adulthood. While youths can expect to engage in social activities earlier in life, they will also have to be responsible for their actions. :「Mainichi Japan」より引用
語句の注釈)revise (動)改正する, Civil Code:民法, come into effect:発効する, majority(名)成人, adulthood(名)大人であること
ミニ解説)「majority(成人)」の対義語「minority(未成年)」も合わせて覚えましょう。「the country」は前述の「Japan」の言い換え表現です。
「youths」は「(成人した)若者たち」を指しています。「young people」よりも、堅い表現です。
「earlier in life(人生のより早い時期に)」と比較級になっているのは、「これまで20歳まで認められなかった権利を、今後は18歳で得られる」事実を指しています。
4月1日、改正民法が施行され、成人となる年齢が20歳から18歳に引き下げられる。大人の基準が変わるのは146年ぶり。若者はより早い社会参加が見込める一方、責任ある行動も求められる。:「毎日新聞」より引用
続いて、主要な段落を順に見ていきましょう。
日本の成人年齢は明治9年にさかのぼる
Japan’s age of adulthood was set at 20 years in 1876 under a proclamation issued by the great council of state in the Meiji period (1868-1912), serving for a long time as the basis for adulthood in Japan. :「Mainichi Japan」より
語句の注釈)proclamation(名)布告
ミニ解説)受け身の過去分詞「issued(発令された)」の前に、「which was(関係代名詞の主語+Be動詞)」を補って解釈します。
「in 1876(1876年に)」を「in the late 19th century(19世紀の後半に)」とすることもできます。
何年だったのか、その場で正確に思い出せないときに便利な表現です。
日本の成人年齢は1876(明治9)年の「太政官布告」で満20歳と決められ、長く大人の基準となってきた。:「毎日新聞」より
「18歳成人」が世界の主流
Today, however, the age of majority is set at 18 as a world standard. The latest revision to the over-a-century-old Civil Code came about as a result of discussions over procedures necessary for constitutional amendments and lowering the voting age.:「Mainichi Japan」より
語句の注釈)procedure(名)手続き, constitutional(形)憲法の, amendment(名)修正
ミニ解説)「over-a-century-old(1世紀以上前の)」が、ハイフンでつながった形容詞句として、直後の「Civil Code(民法)」を修飾しています。
この例のように、「… old」は人間の年齢以外の「物」にも使えます。
例)This house is 50 years old.(この家は築50年だ。)
形容詞「necessary(必要な)」の前に、「which are(関係代名詞の主語+Be動詞)」を補って解釈します。
しかし、今では「18歳成人」が世界の主流で、憲法改正手続きや選挙権年齢の見直し議論の末に、今回の改正が実現した。:「毎日新聞」より
国民投票法の成立が発端
The catalytic event for the change was the 2014 enactment of the revised national referendum law for constitutional revisions which stipulates processes and measures to amend the Japanese Constitution. A constitutional amendment requires a majority of yes votes in a national referendum.: 「Mainichi Japan」より
語句の注釈)catalytic(形)触媒の,きっかけとなる enactment(名)制定, referendum(名)国民投票, stipulate(動)規定する, amend(動)修正する, Constitution(名)憲法
ミニ解説)最初の英文は、構造をきちんと整理しないと意味がややこしくなります。
この英文を2パートに分けて、骨格である主語・動詞・補語だけを取り出すと、次の構成になります。
[The catalytic event(主語)発端となった出来事は] for the change [was(動詞)だった] [the 2014 enactment(補語)2014年の制定]
= 発端となった出来事は、2014年の制定だった。
[which(主語)それは] [stipulates(動詞)規定している] [processes and measures(目的語)手順と方法を] to amend the Japanese Constitution.
⇒ それは、手順と方法を規定している。
「which(関係代名詞の主格)」の先行詞は、少し前にさかのぼって「the revised national referendum law(改正された国民投票法)」です。
発端となったのは憲法改正の具体的な手続きを定めた国民投票法の成立だ。憲法改正には国民投票で過半数の賛成が必要とされている。:「毎日新聞」より
国民投票の投票権者は18歳
Under the revised referendum law, the age for people to become eligible to vote was lowered to 18 with a view to encourage active social engagement among young people. This spurred discussion over what to do with the voting age and the age of majority.:「Mainichi Japan」より
語句の注釈)eligible(形)資格のある, spur(動)刺激する
ミニ解説)「the age for people to become eligible to vote was lowered to 18」の骨格を抜き出すと、「the age was lowered to 18(年齢が18歳に引き下げられた)」となります。
「young people(若者)」は前述の「the youths」の言い換え表現です。英文記事では、同じ単語の繰り返しを避ける傾向があります。
「This」は前述の「the age for people 〜 among young people」の内容を指しています。
「discussion over A(Aをめぐる議論)」となり、Aには名詞が入ります。
ここでは、「what to do with the voting age and the age of majority(選挙権年齢と成人年齢をどうすべきか)」という名詞句全体がAになります。
このような長い名詞句も、短い名詞と同じ位置に配置することができます。
国民投票法が、若者の積極的な社会参加を促す観点から国民投票の投票権者を18歳以上としたため、選挙権年齢や成人年齢をどうするかの議論が起こった。:「毎日新聞」より
女性の結婚可能な年齢が男性と同じ18歳に
The revised Civil Code enacted in 2018 lowered Japan’s age of majority from 20 to 18 and raised the legal age for women to marry from 16 to 18, the same age regulation as that for men. :「Mainichi Japan」より
語句の注釈)enact(動)制定する
ミニ解説)主語の「The revised Civil Code(改正民法)」を受ける動詞は、「lowered(引き下げた)」と「raised(引き上げた)」の両方です。
受け身の過去分詞「enacted(制定された)」の前に、「which was(関係代名詞の主語+Be動詞)」を補って解釈します。
「which」の先行詞は、直前の「The revised Civil Code(改正民法)」です。
同様に、受け身の過去分詞「the same age(同じ年齢)」の前に、「which is(関係代名詞の主語+Be動詞)」を補って解釈します。
「which」の先行詞は、直前の「18(18歳)」です。
「18」=「the same age」なので、両者を「コンマで並列した同格表現」と考えてもOKです。
18年に成立した改正民法は成人年齢を20歳から18歳に引き下げ、女性が結婚できる年齢を16歳以上から男性と同じ18歳以上とした。:「毎日新聞」より
飲酒や喫煙は20歳で据え置き
The revised civic law is going to take effect in April, along with the revised Juveniles Act, under which 18- and 19-year-olds who commit a crime will face harsher punishment as “specified juveniles.” The legal age for drinking, smoking and public gambling, on the other hand, will remain at 20.:「Mainichi Japan」より
語句の注釈)civic(形)市民の juvenile(名)年少者
ミニ解説)「The revised civic law」は、前述の「the revised Civil Code」の言い換え表現です。いずれも「改正民法」を指しています。
「under which 〜 “specified juveniles.」の部分を独立させると、次の英文となります。
Under the revised Juveniles Act, 18- and 19-year-olds who commit a crime will face harsher punishment as “specified juveniles. (改正少年法のもとでは、事件を起こした18歳、19歳は「特定少年」と位置づけられ、より厳しい罰則に直面することになる。)
文中の「face」は「直面する」という意味の動詞です。
事件を起こした18、19歳を「特定少年」と位置付けて厳罰化する改正少年法とともに4月に施行される。飲酒や喫煙、公営ギャンブルは変わらず20歳未満はできない。:「毎日新聞」より
以上、「日本の成人年齢の引き下げ」に関する「Mainichi Japan」の英文記事を取り上げました。
高校卒業の年齢で選挙権を付与するのは、政治への関心を高める効果がありそうですね。
また、結婚可能な年齢が男女ともに18歳になったのも、今の時代に即していると感じます。
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