スティングがウクライナ支援で”Russians”新映像
東西冷戦を批判した “Russians” に再び脚光
“Russians” といえば、冷戦時代の1985年に発表されたスティング(Sting)の反戦ソング。
米ソの東西両陣営を批判する歌詞や、異国情緒と哀愁漂うメロディーが実に印象的な歌でした。
当時、細かい意味を理解していなかった私にも、”I hope the Russians love their children too” の部分がしっかりと耳に残ったものです。
その後、ソ連の崩壊で冷戦が終わり、時代遅れになった曲の存在をいつしか忘れていました。
おそらく、世界中の多くの人々も、スティング自身もそうだったかもしれません。
が、皮肉にも最近の「ウクライナ危機」によって、 “Russians” が再び脚光を浴びることになりました。
現在70歳のスティングが「ウクライナ支持」を表明するため、新映像を公開したからです。
以下、NME Japan のサイトより引用です。
スティング、ウクライナへの支持を表明するために“Russians”を披露した映像が公開
元々、冷戦期にリリースされた“Russians”は核戦争で世界が破壊される前にアメリカ合衆国とソビエト連邦の両方に共通の人道的なものを見出してほしいと願う内容となっている。
今回、ロシアによるウクライナ侵攻を経て、この曲の内容は再び現在進行系のものとなっていて、スティングはポーランドとの国境にある倉庫に医薬品や人道的支援を送る運動「ヘルプ・ウクライナ」のために“Russians”を披露する動画を投稿している。
「この曲は書かれてから長い間、ほとんど演奏されたことがありませんでした。というのも、この曲の内容がもう一度現在形のものになるとは思っていなかったのです」とスティングはパフォーマンスに先立って語っている。「しかし、平和的で脅威ではない隣国を侵略するという残虐で間違った選択を一人の人物がしたために、この曲はもう一度、共通の人道的なものを願う声となったのです」
世界平和のために立ち上がった、スティングの勇気と心意気に胸を打たれます。
と同時に、「この曲の内容が現在進行形のものとなった」現状に大きな危機感を覚えます。
“Russians” の歌詞は意味が難解
“Russians” の英語歌詞付き動画です。曲は1985年のオリジナル・バージョンのようです。
固有名詞が多く登場し、背景知識がないと意味を理解しづらいです。
In Europe and America, there’s a growing feeling of hysteria
Conditioned to respond to all the threats
In the rhetorical speeches of the Soviets
Mr. Khrushchev said we will bury you
I don’t subscribe to this point of view
It would be such an ignorant thing to do
If the Russians love their children tooHow can I save my little boy from Oppenheimer’s deadly toy
There is no monopoly in common sense
On either side of the political fence
We share the same biology
Regardless of ideology
Believe me when I say to you
I hope the Russians love their children tooThere is no historical precedent
To put the words in the mouth of the President
There’s no such thing as a winnable war
It’s a lie we don’t believe anymore
Mr. Reagan says we will protect you
I don’t subscribe to this point of view
Believe me when I say to you
I hope the Russians love their children tooWe share the same biology
Regardless of ideology
What might save us, me, and you
Is if the Russians love their children too
公式の和訳は存在しないようなので、参考リンクを張っておきます。
“Russians” の Official Music Video
こちらは、「東西冷戦のイメージ映像」で綴った “Russians” の公式動画(Official Music Video)です。
あたりまえですが、先ほどの2022年版と比べると、熱唱するスティングの若さが際立ちます。
人類滅亡までの終末時計を想起させる不気味な秒針の音、寂しいモノクロ映像で描かれる冷戦の象徴、スティングの深く響きわたる歌声…。
当時、この曲に出会って独特の世界観に引き込まれ、重苦しい歌詞にもかかわらず、ヘッドフォンで何度も何度も聴いたのを思い出します。
“Russians” の元になった組曲
この歌の元になった、プロコフィエフの組曲「キージェ中尉」より第2曲「ロマンス」です。
確かに、メロディーが似ていますね。
そもそも元の楽曲があったことを、私も最近になって知りました。
“Russians” に21世紀版の歌詞は不要
先日、ウクライナ紛争の報道を見たときに、ふと思い出した “Russians” のメロディー。
(確かスティングの歌だった!暗いけど凄くいい曲だったよなあ…。)
そこへ、はからずも彼が新映像を公開したニュースを知り、なつかしい歌と数十年ぶりに再会することに。
いつ聴いても心に響く曲ですが、冷戦当時の危機感まで一緒によみがえってほしくありません。
願わくば、 “Russians” に「プーチン氏を主役とする21世紀版の歌詞」を追加する必要がありませんように…。
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“スティングがウクライナ支援で”Russians”新映像”へ3件のコメント
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The messages in “Russians”, “We share the same biology” and ” I hope the Russians love their children too” resonate in my heart. In today’s newspaper, I happened to find the following Senryu ; ”子も撃てとロシアの母は教えしや”(大阪 小倉三歩)、which also has reached my heart. The war never brings happiness to any single one.
Alicia, thank you so much for sharing such a beautiful song with a strong message for the world peace!!
I hope many influential people like Sting follow this movement. Stop war!!
大人たちが愛ある判断を!
I’m a huge fan of Sting! I was very impressed to hear the message and the new “Russians” performance on his Instagram.
彼が提示したウクライナへの支援先も非常に具体的で信頼できるものだと感じました。
I believe the power of music!