平野歩夢が判定への怒りを原動力に逆転金メダル!

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3度目の冬季五輪で平野歩夢がようやく金メダルを獲得

北京五輪のスノーボード男子ハーフパイプ決勝で、平野歩夢選手(23)が逆転で悲願の金メダルを獲得しましたね。

大技を決めた2本目の点数が予想外に低く、暫定2位でまたもや銀メダルかと思いきや、3本目に力を出し切るところが凄いです。

スノーボードで日本勢の金メダルは初めてだそうで、まさに歴史的な瞬間でした!

この競技は日本ではまだマイナーな印象ですが、平野選手は世界的にも有名な選手なんですよね。

英語版のWikipediaにも、こんなふうにちゃんと紹介されてますから。

Ayumu Hirano (平野 歩夢, Hirano Ayumu, born 29 November 1998) is a Japanese three-time Olympic medalist snowboarder and Olympic skateboarder.

以下、男子ハーフパイプ決勝を英文記事と英語Tweetを交えながら振り返ってみます。

平野歩夢の信じがたい高難度技を海外メデイアも絶賛

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平野選手の金メダルは、英文記事でも次のように称賛されています。

Ayumu Hirano lands multiple triple corks, wins gold in dramatic halfpipe final

After winning silver at back-to-back Olympics, Japanese snowboarder Ayumu Hirano is finally a gold medalist.

「back-to-back Olympics(連続のオリンピック)」は前々回(ソチ)と前回(平昌)の五輪出場を指しており、いずれも銀メダルでした。

23歳になった今回、3度目の正直で金メダルを勝ち取ったことを「finally(ようやく)」と表しているわけですね。

平野選手はさらに、昨夏の東京五輪でスケートボードに出場しており、いわゆる「two-way player(二刀流の選手)」です。

「He is a two-way player.(彼は二刀流の選手だ)」のように使います。夏冬五輪出場は日本人5人目だそうです。

もうひとつ、同じソースから英文記事をご紹介します。

Ayumu Hirano’s incredible final run wins halfpipe gold

Sitting in second place behind Scotty James, Japan’s Ayumu Hirano put down a stunning halfpipe run, which included a triple cork, on the final run of the contest to win his first Olympic gold medal.

途中で2位につけた平野選手が最終3回目の試技で、五輪初の「トリプルコーク1440」を組み込んだ構成を成功させ、96・00の高得点で優勝したことを指しています。

トリプルコーク1440:縦に3回転、「1440」は1周360度×4回転=1440度という意味で、横回転の角度を表している。世界でまだ1人しか成功していない大技。

↑この技、私もなんだかよくわかってません・・・。

お次は、平野選手の金メダルを報じる海外メディアのお祝いTweetです。

海外メディアにこうやって英語で絶賛されると、日本人としてうれしい限りです。

スノーボードのハーフパイプとは

ここで、少しだけ競技のルールに触れておきます。

スノーボードのハーフパイプとはどんな競技?

ハーフパイプとは、半円筒状の雪上を滑り、ジャンプやターン・宙返りなどの技を決め、得点を競う競技です。

この半円筒状の構造物の事を、ハーフパイプといいます。

技の構成の事をルーティーンと呼び、1回のルーティーンで5~6回の技が行われます。

ハーフパイプの1本の演技の最高得点は100点

高難度の技を決めるほど高得点になります。

得点は、技の「完成度」・「難易度」・「高さ」・「独創性」の観点から決められます。

・・・だそうです。野球やテニスと違い、私には「誰が高難度の技を決めて高得点を上げたのか」、見ていてもさっぱりわかりませんでした。

2回目ランの低得点はありえない!:海外有識者らも激怒

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今回の平野歩夢選手の金メダルへの道を振り返るにあたって、一番の注目を集めたのが、世界中から大ブーイングを巻き起こした「2回目の低スコア」でしょう。

つまり、彼の2回目の演技は難易度が高く、ほぼ完璧に見えたにもかかわらず、なぜか得点が伸びず「暫定2位」と判断されたのです。

本人も納得がいかず、怒りをエネルギーに変えて3回目に挑んだというから立派ですが、これを「結果オーライ」にしていいのでしょうか。

もちろん、この不可解な判定に憤慨しているのは日本人だけじゃありません。

アメリカの放送局「NBCスポーツ」で決勝を実況したトッド・リチャーズ氏(解説者)とトッド・ハリス氏(アナウンサー)の反応が、非常にわかりやすいです。

Olympics Jerk Watch: The Snowboarding Judges Who Disrespected Ayumu Hirano

On Friday morning in Beijing, Japanese snowboarder Ayumu Hirano stomped the men’s halfpipe with one of the best runs that NBC commentators Todd Richards and Todd Harris had ever seen. “Ayumu Hirano is from another planet!” yelled Harris. “That was the most difficult halfpipe run in the history of halfpipe that has ever been done,” said Richards.

「平野歩夢の演技は人間業を超えている!」「ハーフパイプ史上最高の難易度だ!」と大興奮で最高得点を期待していたら・・・まさかの判定に茫然自失の二人!

What sort of jerks would give such a low score to such a great run? The Todds were at a loss for words. “Explain that to me,” said Harris. “Uhhhhh, what? What? Is there a mistake?” said Richards. “How did that … wait a minute. There’s no way. There is no way! A 91.75?”

「jerk」は「バカ、まぬけ」を意味するののしり言葉ですが、思わず口をついて出るのもわかります。

最初の部分をあえて乱暴に意訳すると、「どこのどいつだ、この神業にこんなふざけた低スコアをつけやがったのは!バッカじゃねえの?」って感じでしょうか。

“There is no way! A 91.75?”(91.75点だと?ありえねー!)・・・と、正直、私も思いました。

もし平野選手が3回目に失敗していたら、それこそ「Ayumu robbed!」という見出しになっていたはず。

なので、この際、きちんと検証すべきかと。低評価がついた根拠を論理的に説明してほしいところです。

こういうことがあるから、「審査員の裁量・主観で勝敗が決まる競技」は好きじゃないんですよね。

今回の五輪は、特にいろんな競技で疑惑の判定が多い気がします。

ショーン・ホワイトが引退で新旧王者交代へ

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もうひとつ、スノー・ボードの歴史を語る上で外せないのが、かつて絶対王者だったアメリカの「ショーン・ホワイト選手」でしょう。

4位に終わったこの五輪を最後に現役を引退するそうですが、私はむしろ、35歳という年齢で出場していたことに驚きました。

彼の圧倒的なスター性と息の長い実力、人気ぶりは、男子テニス界に君臨するBig 4、特にロジャー・フェデラー選手を彷彿とさせます。

金メダルを勝ち取った平野選手の功績をたたえ、抱擁を交わして別れる様子は、新旧の「王者交代の儀式」のようでぐっときました。

子供の頃からずっとあこがれた選手に後継者だと認められ、平野選手も万感の思いだったのではないでしょうか。

締めくくりに、競技を終えた後のショーン・ホワイト選手の言葉を引用します。

Shaun White waves goodbye to Winter Olympics but spirit lives on in Ayumu Hirano

“To get this bonus round and to see these young guys competing, it’s been such an enjoyable process and I’m truly thankful to be still competing and even getting fourth.”

“This is it for me,” said White. “I’m so proud of Ayumu and Scotty, incredible riders.”

10代、20代の若い選手たちと五輪の晴れ舞台で互角に張り合えたプロセスを心から楽しみ、4位の好成績を収めたことに感謝を示しています。

「以前、世界の頂点をきわめて五輪で連続金メダルを獲得し、今回は若いライバルにその座を譲った」という展開、4位だった点も含めて、フィギュアスケートの羽生結弦選手と重なる面があります。

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金メダルの平野歩夢(日本)と銀メダルのスコット・ジェームズ(オーストラリア)


そして、金メダルと銀メダルに輝いた二人に対して、「歩夢、スコッティを誇りに思う。とてつもないライダーたちだ」とも。これこそ最高級の賛辞ですね。

ショーン・ホワイト選手、長い間お疲れさまでした!そして、新王者となった平野歩夢選手の今後がますます楽しみです。

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平野歩夢が判定への怒りを原動力に逆転金メダル!”へ4件のコメント

  1. sunflower より:

    I was so impressed by Ayumu’s amazing performance even after he was given a low score in his second run. In his medalist interview, he seemed so honest and diligent. He also shared the moment when he hugged the admirable athlete, Shaun White, which was really touching.

    Last not least, fairness is the most important in Olympic games. I hope no more unfair judge will be given to athletes.

    平野選手の技は素晴らしかったですね。ハーフパイプのこと全然知らなかったけど、コラムのおかげで楽しむ読むことができました。先日、林修先生がスノボの技について述べていたので、リンク貼っておきます。よろしかったどうぞ。すみません。リンクの貼り方がよくわからないから、うまく飛べなかったらお許しを。

    スノーボードの技、実際にあるのは?【ことば検定スマート】 答え林修
    https://news.tankanokoto.com/2022/02/ks11.html

  2. June より:

    It was amazing how Ayumu Hirano was able to sublimate his anger at the low score into energy to win the gold medal. I also take off my hat to him for his calmness in his third performance, where he focused on perfecting the same performance as the second one, instead of using risky new techniques. I believe that this medal was won only by a combination of talent, hard work, mental strength, and luck.

    納得のいかない低スコアはフィギュアスケートなどで今までもありましたが、今回はヒートアップして真相が明らかになればいいなと思います。平野歩夢の怒りを昇華させる強靱な精神力と冷静さを私も見習いたいです。

  3. ともへび より:

    I was overwhelmed by Ayumu’s great run!
    ほやほやの話題、興味深くコラム拝読しました!

    3回目の逆転金メダルの滑りの映像をダイジェストで見て、そのスゴ技に圧倒されていたのですが、その前にそんなモヤモヤ判定があったとは知りませんでした。

    高梨沙羅選手の失格もしかり…基準や判定の透明性は守って、選手たちが気持ちよく競技できるようにしてもらいたいなぁというのが、素人ながらの私の感想です。

  4. Kuni より:

    A lot of Suspicious Judgment has popped up one after another in these Olympic games. What the hell is going on there in Beijing?

    I wonder Beijing seems to be trying to make the world an enemy not only in economics, security, and human rights but also in sports.

    IOCそのものの抜本的改革が必要かも…

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