過労自殺が過重労働とハラスメントを浮き彫りに【Work-related suicides reveal extent of overwork, harassment】
反復用:動画で通訳トレーニング
Step1:全体リーディング
【説明を表示】Work-related suicides reveal extent of overwork, harassment
In two cases, in 2017 and 2019, an engineer and a salesperson at top automaker Toyota took their own lives due to on-the-job pressure including so-called “power harassment” by superiors. The company’s failure to rein in abusive bosses points to wider issues with Japan’s workplace culture.
Step2:重要単語と語句
suicide(名)自殺
reveal(動)明らかにする
harassment(名)迷惑行為、嫌がらせ
rein(動)制御する
abusive(形)罵倒する、虐待的な
Step3:ミニ解説
◆ Work-related suicides reveal extent of overwork, harassment 過労自殺が過重労働とハラスメントを浮き彫りに
英文記事のタイトルでは直近の過去の出来事を現在形で示し、冠詞やBe動詞を省略する傾向があります。
通常の英文に直すと以下のようになります。( )が変更・補足した箇所です。
Work-related suicid(e) (cases) reveal(ed) (the) extent of overwork (and) harassment.
タイトルの意味は直訳すると「仕事に関連した自殺が働き過ぎとハラスメントの程度(重大さ)を明らかにした」ですが、記事の内容を踏まえて意訳しています。
◆ took their own lives due to on-the-job pressure 仕事上の重圧により自らの命を絶った
「take one’s own life(自らの命を絶つ)」は「commit suicide(自殺する)」の別の表現です。
「on-the-job(仕事上の、勤務中の)」は、このようにハイフンでつなぐ形で、形容詞として用います。タイトルの「work-related」と同じ意味で使われています。
◆ including so-called “power harassment” by superiors. (重圧には)上司によるいわゆる「パワーハラスメント」が含まれている。
前述の「on-the-job pressure(仕事上の重圧)」の中身を解説した部分で、この中に「パワハラ」が含まれていることを示しています。
なお、「パワーハラスメント」は日本のコンサルティング会社が生み出した和製英語です。海外で使っても通じない可能性があるので注意しましょう。
「so-called(いわゆる)」という但し書きはそういうニュアンスで付けています。
英語では 通常「abuse of authority(権限の乱用)」「workplace bullying(職場でのいじめ) 」のように表現します。
◆ The company’s failure to rein in abusive bosses 会社がパワハラをする上司をきちんと管理できなかったことは
「The company」はここではトヨタを指しています。
「rein in(手綱などで~を制御する)」から「rein in abusive bosses」は「虐待的な上司たちを抑える、制御する」という意味ですが、記事の内容に沿って意訳しています。
「bosses(上司)」は直前の文章に出てきた「superiors」の言い換えです。
◆ points to wider issues with Japan’s workplace culture. 日本の職場文化の幅広い問題点を浮き彫りにしている。
「point to」は「指し示す、指摘する」という意味ですが、「(問題点に)気づかせる、意識を向ける」と解釈し、タイトルとそろえて「浮き彫りにしている」という和訳にしています。
「wider」という比較級になっているのは、これら2件の自殺により、これまで認識されていた以上に幅広い多くの問題点が浮き彫りになった、という意味を表すためです。
Step4:スラッシュ・リーディング
【説明を表示】Work-related suicides reveal extent of overwork, harassment
In two cases, in 2017 and 2019, / an engineer and a salesperson at top automaker Toyota / took their own lives due to on-the-job pressure / including so-called “power harassment” by superiors. / The company’s failure to rein in abusive bosses / points to wider issues with Japan’s workplace culture.
Step5:サイトトランスレーション
【説明を表示】Step6: 反訳トレーニング
【説明を表示】Step7:スピード音読
【説明を表示】Work-related suicides reveal extent of overwork, harassment
In two cases, in 2017 and 2019, an engineer and a salesperson at top automaker Toyota took their own lives due to on-the-job pressure including so-called “power harassment” by superiors. The company’s failure to rein in abusive bosses points to wider issues with Japan’s workplace culture.
参考1:トヨタ社員の自殺、豊田章男社長がパワハラ認め遺族に謝罪し和解【読売新聞 2021/06/07)】
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210607-OYT1T50157/
2017年にトヨタ自動車の男性社員(当時28歳)が自殺したのは、上司のパワーハラスメントが原因だったとして、トヨタは7日、豊田章男社長が遺族を直接訪ねて謝罪し、遺族側と和解したことを明らかにした。
和解は4月7日付。男性への安全配慮義務違反があったと認めたうえで、解決金(金額非公表)を支払った。
遺族側の代理人弁護士によると、男性は東大大学院修士課程修了後の15年4月に入社した。車両設計を担当する部署に配属された16年3月以降、直属の上司から「死んだ方がいい」などと繰り返し暴言を受けるようになり、適応障害を発症。
16年7月から3か月間休職した。だが、復職後もこの上司の近くの席で働くことがあり、17年10月30日、社員寮の自室で自殺した。
参考2:上司のパワハラで社員自殺、労災認定 藤沢労基署、トヨタ自動車販売店に【神奈川新聞 2021/10/20】
https://news.yahoo.co.jp/articles/276f2ce176dbf6f90f9fdc0ed193898bbb14cb96
藤沢市のトヨタ自動車販売店に勤めていた男性=当時(38)=が2019年5月に自殺したのは、上司のパワーハラスメントが原因だとして、藤沢労働基準監督署が労災認定していたことが20日、分かった。
認定は6月22日付。男性の両親らが20日、厚生労働省で記者会見して明らかにした。
編集後記
世界に冠たるトヨタでパワハラによる自殺が繰り返して起きていたのは残念でなりません。
確か、電通などでも同様のケースがありましたね。
コロナ渦で変化の兆しも見えるとはいえ、日本の職場文化には根強いものがあります。
たぶん、欧米の感覚では「サービス残業」など到底理解できないのでは?
国際社会の中で日本が競争力をつけていくには、そろそろ悪習を断つ時期に来ているように感じます。
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