ネイティブに英文添削を頼むときの注意点
今回はネイティブに英文添削を頼むときの注意点をお伝えします。
私たち日本人の目には、アメリカ人やイギリス人などのネイティブ・スピーカーは皆、「英語のプロ」に見えてしまうかもしれません。
英語が母国語なんだから、完璧に使いこなせて当然だろう、というふうに。
が、現実には必ずしもそうとはいいきれないのです。
ずっと以前、私は1年間だけ巷の英会話スクールに通ったことがあります。
ブース内でネイティブのグループレッスンを受ける形式の授業でした。
今思い起こせば、この授業の中身にもいろいろ問題があったのですが、
このスクールには併設された喫茶コーナーがあり、受講生が自由に出入りできるのがひとつの売りでした。
喫茶のカウンター内には英語を話せるドイツ人女性が常に待機していて、授業の前後に、生徒たちが彼女と雑談を楽しめるようになっていました。
この女性はとても上手に英語を話しましたが、発音や話し方をみると、明らかにネイティブではありませんでした。
この喫茶コーナーは拘束時間が長いため、たぶん、ネイティブ講師を配置すると人件費が高くなり、採算が合わなかったのでしょう。
ネイティブの先生たちも空き時間にここへ立ち寄ることが多く、そういうタイミングにたまたま居合わせると、英語で話すチャンスに恵まれました。
私も喫茶コーナーをよく利用しましたが、ただ雑談するだけでは物足りず、準備していた英文エッセイの添削を講師に頼むことが多かったのです。
その頃から時事ネタが好きだったので、新聞やニュースを見て気になったことを自分の感想としてまとめていました。
あるとき、確か自民党の誰かが離党したという出来事があり、エッセイの中で「secede(離党する)」という動詞を使っていたのです。
この単語は、私が普段読んでいた英字新聞によく登場していました。
で、喫茶コーナーに居合わせた若いカナダ人の女性講師に添削を依頼すると、”Sure!”と快く引き受けてくれたのですが、
まもなく予想外の反応が返ってきました。
なんと、「secede」という動詞を今まで聞いたことがなく、意味がわからないと言うのです。
(え? もしかして使い方を間違ったのかな。でも、英字新聞に載ってるし・・・)
と戸惑っていたところへ、別のオーストラリア人女性講師が入ってきました。
この講師はカナダ人講師よりも何歳か年上で、日本語もある程度話せます。
たぶん、カナダ人講師が助け舟を求めてオーストラリア人講師に事情を説明したのだと思いますが、
いきさつを聞いて私のエッセイを見た彼女は、
「この単語、政治のニュースで普通に使うわよ。知らないなんて信じられない」という反応を同僚のカナダ人に対して返したのです。
聞いていた私は唖然としました。
社会人のネイティブが時事英語に登場する単語を知らない、というのは想定外だったからです。
よく考えると、このカナダ人女性は現地の大学を卒業後、国内で就職できずに知り合いの勧めで来日して、英会話講師になった人でした。
つまり、社会人としても英会話講師としてもきわめて経験の浅い状態だったのです。
人柄がとても良くチャーミングだったので人気があり、私も好感を持っていたのですが、少なくとも時事ネタのエッセイ添削には向いてないな、と悟りました。
昔のことなのになぜ覚えているのかというと、たぶんこの経験が、「ネイティブは万能ではない」という事実を悟った最初の機会だったからでしょう。
ネイティブ講師に英文添削を依頼するときは、人を選ばないとダメです。
その講師に十分な背景知識と文法能力があるか、過去のサンプルを見せてもらうなりして、能力をきちんと確かめるようにしましょう。
余談ながら、この英会話スクールは初心者が大半だったので、授業カリキュラムや運営面でちょっと受講生をナメているようなところもありました。
たぶん、誰も文句をいわないのでそれで良しとしていたのでしょう。
このあたりは、書き出すと長くなりそうなのでまた機会を改めますね。
以上、ご参考になりましたら幸いです。
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